両立支援等助成金~出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)~両立支援等助成金
~出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)~

職業生活と家庭生活が両立できる“職場環境づくり”のために、
両立支援等助成金 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)をご紹介します。

【概要】
男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、育児休業や育児目的休暇を取得した男性労働者が生じた事業主に支給されます。

【支給額】

中小企業

中小企業以外

1人目の育休取得

事業所で初めての男性育児休業取得者が対象です。

5日以上

57万円

<72万円>

14日以上

28.5万円

<36万円>

2人目以降の育休取得

1 年度10人まで

過去に男性の育児休業取得実績がある企業も対象

5日以上

14.25万円

<18万円>

14日以上

23.75万円

<30万円>

14.25万円

<18万円>

1ヶ月以上

33.25万円

<42万円>

23.75万円

<30万円>

2か月以上

33.25万円

<42万円>

 

【おもな要件】

  • 男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りのための取組を行うこと。
  • 男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続14日 (中小企業は連続5日)以上の育児休業を取得すること。
    (※育児休業期間が5日以上14日未満の場合は所定労働日が4日以上、育児休業期間が14日以上の場合は所定労働日が9日以上含まれていることが必要です。)

★個別支援加算
男性労働者の育児休業の申出日までに個別面談を行う等、育児休業の取得を後押しする取組を実施した場合に支給されます。

▶詳細はこちら【助成金資料】男性育休

一般事業主行動計画の策定・届出等について
一般事業主行動計画(以下「行動計画」)とは、次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、(1)計画期間、(2)目標、(3)目標達成のための対策及びその実施時期を定めるものです。次世代育成支援対策推進法が改正され、従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付けられています。詳しくは、当法人担当者までご相談ください。


<関連リンク>
厚生労働省ホームページ 一般事業主行動計画の策定・届出等について
厚生労働省ホームページ 子ども・子育て事業主の方への給付金のご案内

 

このほか、今年度から令和5年度にかけて、育児介護休業法の改正施行に伴い、事業主には社内規程や制度の整備が求められます。
法改正対応や仕事と家庭の両立支援制度についても、当法人担当者までご相談ください。

【最低賃金改定】時給は求人市場の動向も踏まえて設定しましょう。

皆様ご存じのように、最低賃金額が今年度の改定で全国加重平均額で930円となりました。
大幅な増額改定となり、コロナ禍での対応に苦慮なさった事業主様もおられたのではないかと思います。

<関連リンク>
厚生労働省 令和3年度地域別最低賃金改定状況
<参考>
最低賃金に関するセルフチェックシート

 

しかし、実際に事務所に寄せられる相談等をみておりますと、ほとんどの事業所の時給はすでに改定後の最低賃金(広島県は899円)を上回っており、事業所の課題は時給を上げる事ではなく、人材の確保そのものにあるように感じられます。

アルバイト・パート求職者が仕事(職場)を選ぶポイントは大きく①時間②場所③時給と言われます。
自社の求人票が他社に比べ、その3点が優位なものとなっているか、見直してみるとよいでしょう。

①時間…短時間(1日2~3時間)の交代制では難しいでしょうか?
    週1日の勤務はできませんか?
    お子さんや家庭の事情などでのお休みには対応できませんか?
    Wワークは可能ですか?

②場所…勤務地を変えることが難しければ、通勤手段の提供や通勤手当の支給などを検討してみてはいかがでしょうか。
    職種によっては、テレワークや直行直帰の導入が可能かもしれません。

③時給…時給そのものだけでなく、労働時間を適正に把握し、割増賃金をもれなく支給しているかどうかも重要です。

9月14日 株式会社リクルートが発表した「2021年8月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査」によると、三大都市圏の8月度平均時給は1,099円となり、前年同月より15円、1.4%の増加となっています。昨年度は最低賃金の改定が見送られましたが、それでも15円増加したということがわかります。

2021年8月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査

このほかにも、ハローワークでも求人票のデータから平均時給や労働条件を公表しているものがあります。
該当の地域、職種での平均時給を参考に、今後の採用戦略を検討されてもよいでしょう。
人事・採用に関するご相談は、お気軽に当法人担当者へお寄せください。

【Topics】令和3年度「全国労働衛生週間」が10月に実施されます。

10月1日(金)~7日(木)は令和3年度「全国労働衛生週間」です。

「全国労働衛生週間」は、労働者の健康管理や職場環境の改善など「労働衛生」に関する国民の意識を高め、職場の自主的な活動を促進して労働者の健康を確保することを目的としており、毎年9月1日から9月30日までを準備期間、10月1日から10月7日までを本週間として実施され、今年で72回目になります。

令和3年度は

全体スローガン 「向き合おう! こころとからだの 健康管理」

副スローガン 「うつらぬうつさぬルールとともに みんなで守る健康職場」

として実施されます。

労働者の健康確保を図るためには、新型コロナウイルス感染症拡大防止に十分留意の上、各事業場が労働衛生管理活動を推進するとともに、このような活動を通じて労働者一人ひとりが積極的に、自身の健康状況の把握と改善に努めることが重要です。
①密閉空間、②密集場所、③密接場面の「3密」を避け、新型コロナウイルス感染症に十分留意して労働衛生活動を推進しましょう。


<参考資料>
全国労働衛生週間リーフレット(全国版)
職場における新型コロナウイルス感染症拡大防止のためのチェックリスト(厚生労働省)

<関連リンク>
厚生労働省 報道発表資料

【9/21~9/30】秋の全国交通安全運動が始まりました。

~社内の運転ルール、管理体制を確認しましょう~

 

今年も秋の全国交通安全運動が始まりました。

期間:運動期間 令和3年9月21日(火)から9月30日(木)までの10日間
   交通事故死ゼロを目指す日 9月30日(木)

年間スローガン:『 ゆとりある 心と車間の ディスタンス 』

交通安全キャッチフレーズ:『なくそう交通事故・アンダー60作戦』

運動の重点:

  • 子供と高齢者を始めとする歩行者の安全の確保
  • 夕暮れ時と夜間の事故防止と歩行者等の保護など安全運転意識の向上
  • 自転車の安全確保と交通ルール遵守の徹底
  • 飲酒運転等の悪質・危険な運転の根絶
秋の交通安全運動啓発チラシ

<関連リンク>
内閣府
広島県警察本部

期間中、交通取り締まりが強化されるのはもちろんですが、
業務中や通勤途上での交通事故やトラブルは、運転者のみならず、事業主にも多大な損失を発生させます。
社内での安全運転の啓発や、就労環境の整備に努めましょう。
運送業でなくても、業務に自動車を使用する事業所は、道路交通法に定められた安全運転管理者制度に注意が必要です。
安全運転管理者制度とは、一定台数以上の自家用自動車を使用する事業所等において、自動車の安全な運転に必要な業務を行わせる者を選任させ、道路交通法令の遵守や交通事故の防止を図ることを目的としている制度です。(道路交通法第74条の3第1項、第4項)


 安全運転管理者等の選任

(1)安全運転管理者(道路交通法施行規則第9条の8)

選任基準

  • 自動車を5台以上使用している事業所
  • 乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用している事業所  
  • 自動車運転代行業者は,台数に関係なく営業所ごとに選任
     ※ 大型・普通自動二輪車は1台を0.5台として計算する(原付は含まない)

資格要件

  • 年齢20歳以上の方
     (副安全運転管理者を選任しなければならない場合は30歳以上)
  • 2年以上の運転管理の実務経験のある方

 

(2)副安全運転管理者

選任基準

  • 自動車20台以上を使用している事業所 
台数 20台~39台 40台~59台 60台~79台
副管理者数 1人 2人 3人

 

 

 

 

 以下20台につき1人追加選任

  • 自動車運転代行業者は,随伴用自動車を10台以上使用する営業所
台数 10台~19台 20台~29台 30台~39台
副管理者数 1人 2人 3人

 

 

 

 

以下10台につき1人追加選任

資格要件

  • 年齢20歳以上の方
  • 1年以上の運転管理の実務経験がある方か、3年以上の運転経験がある方


上記資格要件を満たしていても、次に該当する方は安全運転管理者および副安全運転管理者にはなれません。
 ※ 過去2年以内に公安委員会の安全運転管理者等の解任命令を受けた者
 ※ 過去2年以内に次の違反行為をした者

      • ひき逃げ、無免許運転、酒酔い運転、酒気帯び運転、麻薬等運転、妨害運転
      • 無免許運転にかかわる車両の提供・無免許運転の車両への同乗
      • 酒酔い・酒気帯び運転にかかわった車両・酒類を提供する行為
      • 酒酔い・酒気帯び運転の車両への同乗
      • 次の交通違反の下命・容認
        酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許・無資格運転、最高速度違反運転、積載制限違反運転、放置駐車違反
      • 自動車使用制限命令違反

安全運転管理者等の選任(解任)届、変更手続き(道路交通法第74条の3第5項)

自動車の使用者は、安全運転管理者等の選任・変更日から15日以内に自動車の使用の本拠地を管轄する警察署を経由して、公安委員会に届け出てください。

安全運転管理者の業務

安全運転管理者は、その管理下の運転者に対して、国家公安委員会が作成・公表する「交通安全教育指針」に従った安全運転教育や内閣府令で定める安全運転管理業務を行わなければなりません。(道路交通法第74条の3第2項、第3項)

 

内閣府令で定める安全運転管理の業務(道路交通法施行規則第9条の10)
  1. 運転者の状況把握
    運転者の運転適性、安全運転に関する技能、知識、道路交通法等の規定を守っているか把握するための措置をとること。
  2. 運行計画の作成
    過労運転の防止、その他安全な運転を確保するために自動車の運行計画を作成すること。
  3. 交替運転者の配置
    長距離運転または夜間運転となる場合、疲労等により、安全な運転ができないおそれがあるときは、交替するための運転者を配置すること。
  4. 異常気象時等の措置
    異常な気象・天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、安全確保に必要な指示や措置をとること。
  5. 点呼と日常点検
    運転者に対して点呼等を行い、日常点検整備の実施及び飲酒、疲労、病気等により正常な運転ができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。
  6.  運転日誌の備付け
    運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。
  7. 安全運転指導
    運転者に対し、「交通安全教育指針」に基づく教育のほか、自動車の運転に関する技能・知識その他安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行うこと

安全運転管理者等講習(毎年1回)

自動車の使用者は、公安委員会から安全運転管理者等の法定講習の通知を受けたときは、安全運転管理者等にその講習を受けさせなければなりません。(道路交通法第74条の3第8項)

※広島県の令和3年度の安全運転管理者及び副安全運転管理者に対する法定講習については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、広島県に緊急事態宣言が発令されたことから、緊急事態宣言期間中に予定されていた講習が延期されています。

罰則

安全運転管理者や副安全運転管理者を選任しなかった場合「5万円以下の罰金」
  (法人等両罰5万円以下の罰金)

 

詳細は管轄の警察署等へご確認ください。

<関連リンク>
広島県警察 安全運転管理者制度

昨今、通学路での痛ましい事故や、過重労働が遠因と思われる危険運転が大きく報道され、雇用主の使用者責任を問題視する傾向も強まっているように感じられます。
交通安全運動期間に限らず、定期的に就業規則や社内ルールを確認し、労働関連法規だけでなく道路交通法等に則った運用を行いましょう。
就業規則や諸規定の作成・見直しは、お気軽に当法人担当者へご相談ください。

★速報★65歳超雇用推進助成金「65歳超継続雇用促進コース」新規申請受付停止★速報★65歳超雇用推進助成金
「65歳超継続雇用促進コース」新規申請受付停止

65歳超雇用推進助成金「65歳超継続雇用促進コース」の令和3年度新規申請受付が9月24日までとなることが発表されました。
停止以降の受付や、新制度については9月27日以降の公表となるとされています。

なお、他のコース(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース、高年齢者無期雇用転換コース)は引き続き受付されるとのことです。

すでに着手、ご検討なさっていた事業主様もいらっしゃると思いますが、今後の発表をご確認ください。

新規申請受付停止について

<関連リンク>
〇厚生労働省ホームページ 65歳超雇用推進助成金
〇独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

 

65歳超雇用推進助成金の申請手続きやご相談は、当法人でも承っております。
お問い合わせは当法人担当者または下記フォームよりお寄せください。

【就職氷河期世代への支援】正規雇用の中途採用比率の公表義務化も伴って中途採用市場が活性化

厚生労働省は9月14日、令和4年度予算概算要求における就職氷河期支援関連施策の取りまとめについて
報道発表しました。

これは、内閣官房就職氷河期世代支援推進室が、令和4年度予算概算要求における就職氷河期世代支援関連施策について、取りまとめたものです。
厚生労働省も、本取りまとめについて各都道府県関係部局、各都道府県労働局に連絡をし、各地域において就職氷河期世代支援に精力的に取り組んでいただけるよう対応を進めていくと発表しています。
(就職氷河期世代:1990年代〜2000年代の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代)

令和4年度概算要求就職氷河期世代支援予算の概要

概算要求をみると、特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の要求額は21.2億円で、令和3年度予算14.3億円に対し48%を超える増加となっています。

本年4月1日から、301人以上を常時雇用する企業には、正規雇用労働者の中途採用比率の公表が義務化となっていることもあり、中途採用市場はますます活発になっています。

リーフレット_正規雇用労働者の中途採用比率の公表

労働人口の減少により、幅広く人材を求めていく必要がある現在、中小企業もこういった助成金を活用し、年齢や職歴にこだわらず募集を行うことも、重要となってくるのではないでしょうか。
また、多様な人材を受け入れ、働きやすい環境を整備し職場を活性化することは、既存の人材の定着にもつながり、企業の発展にも良い影響を与えられるはずです。
まずは自社の置かれる状況や今後のビジョンを確認し、継続のために必要な人材、人物像を具体化してみましょう。
働き方改革、採用、人事制度のお悩みはお気軽に当法人担当者へご相談ください。

【Topics】「健康増進普及月間」(2021年9月1日~30日)お役立ち情報

厚生労働省は、今年度の「健康増進普及月間」(令和3年9月1日~30日)の実施にあたり、運動不足の解消や健康意識の向上、健康づくりのための身近な目標「+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう」を達成することの支援を目的として、「おうちで+10(プラステン)超リフレッシュ体操」特設Webコンテンツを公開しました。

本コンテンツには、メディア等でご活躍中の谷本道哉先生(近畿大学 生物理工学 准教授)と考案された3種類の「超リフレッシュ体操」動画が掲載されています。
それぞれの体操メニューは、3分程度で手軽に行えるものなので、ご自宅や職場などの日常生活のなかで、すきま時間に実践できます。
こわばった体を快適にほぐしたい人には「超リフレッシュ体操」、手軽な筋肉トレーニングで体を強化したい人には「超リフレッシュ筋トレ」、息の上がる運動で気持ちよく汗をかきたい人には「超リフレッシュキックボクササイズ」と、様々な年齢の方がご自身の日頃の運動量や気分、目的に合わせて選べる体操メニューになっています。どの動画も谷本先生に体操のポイントについて解説いただきながら、宇賀なつみさん(「スマート・ライフ・プロジェクト」オフィシャルサポーター)と一緒に楽しく実践できる内容となっています。

日頃の運動不足解消や心身のリフレッシュに役立てましょう。


「おうちで+10(プラステン)超リフレッシュ体操」特設Webコンテンツ

【法改正】脳・心臓疾患の労災認定基準を改正

厚生労働省は、過労死を巡る労災認定の判断基準となる脳・心臓疾患の労災認定基準を改正し、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」として、9月14日付で都道府県労働局長宛てに通知しました。

約20年ぶりとなる今回の改正では、働き方の多様化や職場環境の変化が生じていることから、専門検討会が7月16日に取りまとめた報告書に基づいて、以下のような見直しがなされています。
特に、いわゆる過労死ラインといわれる「発症前1カ月間に100時間または2~6カ月間平均で月80時間を超える時間外労働」の基準は維持する一方、これに達しない場合も労働時間以外の負荷要因を含め総合評価することを明らかにした点などがポイントとなっています。

【認定基準改正のポイント】
  • 長期間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化
  • 長期間の過重業務、短期間の過重業務の労働時間以外の負荷要因を見直し
  • 短期間の過重業務、異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化
  • 対象疾病に「重篤な心不全」を追加

<関連リンク>
厚生労働省 令和3年9月14日(火)報道発表

【相談の現場から】台風、自然災害にまつわる労務管理上の対応

今年も台風シーズンが到来しました。
近年、全国各地で「観測史上初」の豪雨、地震や台風による被害が毎年のように発生しており、自然災害による事業活動への影響の対策の必要性を改めて感じられている企業の方も多いのではないでしょうか。
もちろん問題は労務管理にも及びます。

台風接近時等の出勤命令と安全配慮義務

台風や地震などの災害発生時に出勤命令を出すか自宅待機や休業とするかは判断が分かれるところです。しかし、無理な出勤を指示することによって安全配慮義務違反を問われる恐れもあります。

事業主は、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう配慮する義務があります。(労働契約法第5条
<安全配慮義務を判断する3条件>
  • 予見可能性
  • 結果回避義務
  • 因果関係
この3つの観点から安全配慮義務違反を判断します。

事業主がこの義務を怠り、労働者に損害を生じさせたときは、その損害を賠償しなければならないこととされています。さらに、この損害賠償は、労災認定による補償と並行して請求されることがあります。
大型の台風接近時に出勤を命じる際には、安全配慮義務の観点から「安全に出勤できるか」ということも考える必要があるでしょう。

事業活動の一時休止と賃金の保障

河川の氾濫や浸水などが起きると、操業停止や営業中止などにより、被災企業のみならず、関連する企業の事業活動にも多大な影響が及びます。
また、台風や地震などに被災した企業は、事業の休止や廃止を余儀なくされ、従業員への対応で検討しなければならないこともあります。

労働基準法では「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」(第26条)と定めています(休業手当の支払義務)。
しかし、台風や地震といった自然災害は不可抗力であり、「使用者の責に帰すべき事由」には該当しません。 したがって、自然災害により事業場の施設・設備が直接的な被害を受け、その結果、労働者を休業させる場合は、原則として、休業手当の支払義務はないことになります。

※未払賃金立替払制度

労災保険に加入している企業で、被災したことにより、事業活動を停止し、再開の見込みがなく、労働者への賃金や退職金の支払いが不能となるなど事実上倒産に至った場合には、国が事業主に代わって未払賃金の一部を立替払いする「未払賃金立替払制度」を利用することができます。最寄りの労働基準監督署に相談してみましょう。

※非常時払い

被災して一定期間休業する場合であっても、そこで働く被災労働者の生活にも配慮しなければなりません。労働基準法では、労働者が出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるために請求した場合は、使用者は、賃金支払期日前であっても既に行われた労働に対しては賃金を支払わなければならない、と定めています(第25条)。この規定は自然災害発生時にも適用され、休業手当の支払いの必要があるか否かを問わず、労働者から請求があれば、被災前の既往労働分に対する賃金の支払義務が生じます。

遅刻・早退、欠勤と年次有給休暇

被災は避けられても、自然災害による公共交通機関の乱れにより、労働者が欠勤せざる得なかったり、遅刻・早退したりする場合があります。このような場合の賃金の取り扱いは、会社の定める就業規則によります。
原則として、早退などを命じた場合以外の時間については、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき時間相当分を控除することは違法ではありません。しかし、こうした場合の遅刻の賃金控除は酷では、ということもありますので、遅刻扱いとはせず、賃金控除しないとする会社も多いでしょう。
なお、前述のような事情による欠勤について、年次有給休暇の取得を一方的に命じることはできません。年次有給休暇は、原則として、労働者の請求を前提として付与するものです。年次有給休暇の取得とする場合には労働者と話し合わなければなりません。

復興のための時間外労働・休日労働

原則、労働者に時間外労働や休日労働をさせる場合、会社は「時間外及び休日労働に関する協定」(36協定)を締結し、所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。しかし、災害その他避けることができない事由により時間外・休日労働をさせる必要がある場合は、36協定によるほか、協定がない場合であっても所轄労働基準監督署の事前の許可(事態が急迫している場合は事後の届出)により、必要な範囲内に限り時間外・休日労働をさせることができます(第33条)。 
したがって、36協定を締結していない場合であっても、被災した工場や店舗などの早期復旧のために労働者に臨時的な時間外労働や休日労働をしてもらう場合、または被災地域外の他の企業が被災地企業の協力要請に基づく支援に伴い時間外労働や休日労働を行う場合には、労働基準監督署に事前の許可または事後の届出をしておくことが必要です。


台風や長雨の起こりやすい時期、何事もないことを願うばかりですが、
労務管理上は、そのような事態も想定して、事前に対応策を検討しておくことが重要です。
この機会に、自社の就業規則や安全管理体制を確認しておきましょう。
その他、就業規則の見直しや、労務管理についてのご相談も随時承っております。
当法人担当者までお気軽にお寄せください。

【相談の現場から】ご存じですか?職場の「ワクハラ」

放置するとパワハラ問題に!接種しない人への強制や差別は許されません。

『ワクハラ』とは、「ワクチンハラスメント」の略語です。

新型コロナウイルスのワクチン接種が徐々に進む中、一方で持病やワクチンへの不安などから「様子を見たい」「接種したくない」という人もいます。接種の判断は個人に委ねられていますが、一部で接種しない人たちを否定するような事態も起きています。

いわゆる「ワクチンハラスメント(ワクハラ)」は、ワクチンを接種しない人が、職場内で「なぜワクチンを接種しないのか」や「ワクチン接種をしないならば出勤させない」、「別室で隔離をして業務をさせる」等、ワクチン接種を強要されたり不当な扱いを受けたりする事をいいます。法律上の定義などが存在しない造語ですが、このワクハラが、パワハラにつながる危険性があります。

ワクチン接種は強制ではありません。それにもかかわらず、受けていない人に、職場で不利益が生じているケースがみられます。会社はどう対応すべきなのでしょうか。

 

厚生労働省のホームページには、次のように記載されています。

「職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをしたりすることのないようお願いしています。
仮に会社等で接種を求められても、ご本人が望まない場合には、接種しないことを選択することができます。」

<厚生労働省ホームページ 関連リンク>
○新型コロナワクチンの接種を望まない場合、受けなくてもよいですか。
○今回のワクチン接種の「努力義務」とは何ですか。


例えば、ワクチンを接種していない社員Aさんについて、
他の社員から「Aさんがコロナになったら仕事に支障が出る」「Aさんがお客さんにコロナをうつしたらどうするのか」といった声が寄せられ、「ワクチンを打つか、退職するか」と退職勧奨にまで発展するという会社が誤った対応をとる可能性もあります。(実際、兵庫労働局において、従業員がワクチン接種を断ったところ、勤務先から自己都合退職届の書類にサインするよう迫られたという事案も報道されています。)
フクシマ事務所でも、社員間でワクチン接種やPCR検査等の受検について意見の相違がありトラブルになりかねないというご相談が増えています。

<厚生労働省ホームページ 関連リンク>
〇新型コロナウイルスワクチン接種が、地域・職域で進んでいます。一方でワクチン接種を受けていない人に対する偏見・差別事例があるとも聞きます。 私たちは、どういった点に注意して行動すべきなのでしょうか?

 

ワクハラが横行してしまう理由には、「ワクチンを打ったからもう大丈夫」という誤った認識を持っている人が少なからず存在しているということも挙げられるでしょう。
ワクチンを打つことで発症や重症化を予防する効果は期待できるといわれていますが、ワクチン接種が完了した後、その効果で発症はしなくても、ウイルスを持っていて、他人に感染させてしまう可能性は否定できません。

しかし、場合によっては転勤が可能なケースも考えられます。
例えば、きわめて重要度の高い業務に従事しており、長期離脱がどうしても許されないような場合であれば、当該業務に従事するにはワクチン接種が条件ということもありえます。そこで、ワクチンを拒否した場合には配置転換も正当であると判断される可能性がありますし、状況に応じて転勤が伴う異動もありえます。「配置転換=労働条件の低下」が当たり前に認められるものではないので注意が必要です。

繰り返しになりますが、新型コロナワクチンの接種は強制ではなく、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われます。
職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていないことを理由に、職場において解雇、退職勧奨、いじめなどの差別的な扱いをすることは許されません。
接種には本人の同意が必要であることや、医学的な事由により接種を受けられない人もいることを念頭に置いて対応しましょう。

また、過去に新型コロナウイルスに感染したことを理由として、人格を否定するような言動を行うこと、一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし職場で孤立させること等も、職場におけるパワーハラスメントに該当する場合があります。

職場におけるパワーハラスメントに関しては、改正労働施策総合推進法により、その防止のために事業主において雇用管理上の措置を講じることが求められています。(中小事業主は令和4年4月1日から義務化)
職場でのハラスメントやトラブルを予防することは、事業主の責務であり、近年その社会的要請は高まり続けています。
パワーハラスメント問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動には十分注意を払うよう心がけましょう。

職場トラブルやハラスメント問題、それらの防止策等はお気軽に当法人担当者へご相談ください。

<リーフレット「2020年6月1日より、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!」>  

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フクシマ社会保険労務士法人は、長年の経験と裏打ちされた実績、数多い労務士による多面的なアプローチで、お客様をトータルサポートいたします。
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