【手続きの現場から】従業員の出産・育児休業に伴う社会保険・雇用保険の手続

令和3年6月に育児・介護休業法が改正され、令和4年4月1日から段階的に施行されています。

今回は、改正内容とともに出産・育児休業に伴う社会保険・雇用保険の手続きについてご紹介します。

 

育児休業中の経済的支援

育児休業中・産後パパ育休中は、さまざまな経済的支援制度があります。

 

健康保険料・厚生年金保険料:産前産後休業中、育児休業中、産後パパ育休中は、申出により支払いが免除されます。

雇用保険料:産前産後休業中、育児休業中、産後パパ育休中に勤務先から給与が支給されない場合は、保険料の負担はありません。

所得税及び復興特別所得税:育児休業給付は非課税のため、この給付からは差し引かれません。

住民税:住民税は前年の収入により税額が決定されますので、育児休業中、産後パパ育休中も支払う必要があります。ただし、育児休業給付は非課税のため、次年度の住民税を決定する上の収入には算定されません。

財形非課税貯蓄:3歳までの子について長期の育児休業等を取得する場合、所定の手続きにより、引き続き利子等に対する非課税措置を受けることができます。

出産育児一時金:健康保険の加入者が出産したとき、1児につき最大42万円が支給されます。

出産手当金:産前産後休業の期間中、健康保険から1日につき原則として賃金の3分の2相当額が支給されます。(※要件あり。詳しくは協会けんぽ、健康保険組合等へ)

育児休業給付金・出生時育児休業給付金:1歳未満(最長で2歳未満)の子を養育するための育児休業を行う場合に、休業開始時賃金月額の67%(支給日数の合計が181日以降は50%)が育児休業給付金として支給されます。同様に、産後パパ育休の場合は出生時育児休業給付金として支給されます。

(※産後パパ育休については、令和4年10月1日以降開始の育児休業について適応。)

 

育児休業給付金の支給

1歳(両親が取得する場合は1歳2か月。保育所に入所できないなどの場合は最長2歳)に満たない子を養育するために育児休業する雇用保険の被保険者で、育児休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上ある方が支給対象者となります。

また、1ヶ月ごとに休業開始前の賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと・休業中に就業した日数が10日以下(または80時間以下)であることも満たす場合に支給されます。

 

・手続き

被保険者が育児休業を開始したときは、その被保険者を雇用している事業主が初回の支給申請を行う日までに「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」を管轄のハローワークに提出する必要があります。

また初回の申請には、「育児休業給付受給資格確認票」「(初回)育児休業給付金支給申請書」や賃金台帳、母子手帳などが必要です。

原則として事業主を経由して申請を行いますが、被保険者本人が希望する場合は本人が申請手続きを行うことも可能です。

 

産前産後休業・育児休業期間中の社会保険料の免除

事業主が、年金事務所または健康保険組合に申出することによって、産前産後休業・育児休業等をしている間の社会保険料が、被保険者本人負担分及び事業主負担分ともに免除される制度です。

 

・手続き

健康保険・厚生年金においては、事業主が「健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書」または「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書」を年金事務所または健康保険組合に提出します。

国民年金においては、被保険者が「国民年金被保険者関係届書」を市区町村に提出します。

 

令和4年10月から社会保険料免除要件が見直されます!

育児休業期間中の保険料免除制度で、保険料を徴収しない期間は「育児休業開始日の属する月から、終了日の翌日が属する月の前月まで」とされています。

つまり現行では、育児休業の取得期間の長さではなく、月末時点で育児休業を取得している場合に当月の保険料が免除される制度になっています。

これが10月から以下のように見直されます。

 

◆見直しの概要

①同月内に14日以上の育児休業を取得した場合は、当該月の保険料を免除!

 

 

 

②賞与に係る保険料については、1月に超える(暦日で計算)育児休業を取得している限り免除!

 

 

③連続する二以上の育児休業を取得する場合は、1つの育児休業とみなして免除の規定を適用!

 

令和4年10月からは、「産後パパ育休の創設」や「育児休業の分割取得」など大きな改正も控えています。

順次HPにも情報をUPしていきますので、ご活用ください。

 

その他、就業規則の改定や手続きに関すること、育児・介護休業法に関するお問い合わせは

お気軽に当法人担当または下記お問い合わせまでお寄せください。

 

<関連リンク>(日本年金機構HP)
育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されます

育児休業等期間中の社会保険料免除要件の見直しの概要

【法改正】令和4年10月 社会保険の適用対象拡大に向けて

令和4年は、働く環境を取り巻く様々な法律が改正されています。

中でも、特に中小企業にとって対応が求められるのが【社会保険適用拡大】です。

 

法改正イメージ

 

加入対象者の確認

  1. 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
  2. 月額賃金が8.8万円以上
  3. 2か月を超える雇用の見込みがある
  4. 学生ではない

 

対象企業

①2022年10月からの対象企業

従業員数101人~500人の企業で働くパート・アルバイトが新たに社会保険の適用になります。

②2024年10月からの対象企業

従業員数51人~100人の企業で働くパート・アルバイトが新たに社会保険の適用になります。

 

※従業員のカウント方法…フルタイムの従業員数 + 週労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員

 

法改正に対応するには、新たな加入対象者の把握、社内周知、対象者への説明、書類の作成・届出が必要です。
まずは、自社の状況を把握し、しっかりと対策をしておきましょう。

 

また、施行期日前より前に適用拡大に取り組むと(選択的適用拡大)、助成金を受けられたり、補助金が優先的に受けられる場合があります。

 

キャリアアップ助成金

・短時間労働者労働時間延長コース 

 …有期雇用労働者等の週所定労働時間を3時間以上延長し、社会保険を適用

・選択的適用拡大導入時処遇改善コース

 …選択的適用拡大の導入に伴い、短時間労働者の意向を大切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取組の実施

・正社員化コース

 …有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換または直接雇用

 

キャリアアップ助成金について、詳しくはこちら

※助成金・補助金の受給には、就業規則・賃金台帳などの整備が必須です。

 

<関連リンク>社会保険適用拡大特設サイト

 

法改正への対応、選択的適用拡大の手続きおよび各種助成金等については、
お気軽に当法人担当またはお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

 

【6月の安全衛生メモ】梅雨時期の交通事故に注意しましょう

間もなく梅雨の時期がやってきます。

じめじめと続く長雨は、交通事故が起こりやすい環境を作ります。

視界不良による事故、水たまりなどでのスリップによる事故を防ぐためにも、

社用車などの車両点検や安全運転に対する啓発活動などを行っていきましょう。

 

梅雨時期の交通事故

1年を通して最も交通事故が多い時期は12~1月ですが、6月もまた事故件数は多くなります。

梅雨時期の事故には、他の季節にはない事故の原因があります。

 

・雨による視界の悪化

雨が降ることでフロントガラスは濡れ、視認性が悪化します。また、ワイパーを使用することでさらに視界は悪化します。

「視界の悪化」は交通事故の大きな要因の一つです。

 

・雨音による社外と社内の音の遮断

車の運転時、運転手は情報の8割を目から得ていると言われています。そして、それ以外は耳からの情報を頼りに運転をしています。

雨の中運転する時、先述の通り視認性の悪化がありますが、雨音によって耳から入る情報もおろそかになってしまいます。

晴天時に運転する際に頼りにしている、周囲からのエンジン音やクラクション、人の話し声などが聞こえないために、衝突事故が増えてきます。

 

・雨による路面の悪化

雨が降ることで道路が濡れ、スリップ事故が起こりやすくなります。

また、ハイドロプレーニング現象によって、車の制動距離が長くなることも知られています。

これらは、「スピードの出しすぎ」「タイヤの摩耗」「タイヤの空気圧不足」によってさらに危険性が増します。

 

・歩行者側の行動

梅雨時期の事故は、歩行者の行動も原因となることがあります。

雨の日は、歩行者は傘をさして歩くため視界が悪化します。また、うつむきがちにもなります。

そして、雨音により周囲の音が遮られ、近づく車の音に気付かず、急に進路変更したり道路横断したりする場合もあります。

つまり、運転手も歩行者も、どちらも「視界の悪化」「周囲の音との遮断」が起こるため、事故が増えることに繋がっていきます。

 

安全運転対策を講じましょう

梅雨時期の運転は「視界の悪化」「路面の悪化」「聴力の悪化」の3点を意識して、注意深い運転が必要です。

また、周囲の車や歩行者も同じく状況が悪化していることも理解する必要があります。

「スピードを出しすぎない」「ハイビームを点ける」「ブレーキを早めに踏む」など、普段以上に安全運転を心がけましょう。

 

また、車のメンテナンスを怠らないことも事故を防ぐために重要な対策です。

水滴をしっかりととるためのワイパー点検、視界をよくするためのフロントガラスの撥水加工、スリップ事故の危険を減らすためのタイヤ交換など、本格的な梅雨を前にチェックをしましょう。

 

事業所内でリーフレット配布や朝礼などで安全運転に向けた注意喚起を行うことも、安全運転対策には効果的です。

 

 

★速報★令和4年7月以降の雇用調整助成金の特例措置等について

新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の特例措置について、

令和4年7月~9月の具体的な助成内容が発表されました。

 

令和4年10月以降の取り扱いについては、8月末までに発表される予定です。

 

令和4年7月~9月の助成内容については こちら

 

【事務所だより 6月号】公開しました!

【事務所だより 6月号】公開しました!

2022年6月号

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