【気を付けよう】夏の労災

気象庁は、7月25日に「向こう3か月の天候の見通し」を発表し、

今年の8月~10月は北日本を除く広い範囲で「高い」と予想しています。

また、雨の量も「平年並みか多い」と予想しています。

7月にはすでに気温35℃を超える日もあり、

暑さが早まっていると実感されている方も多いのではないでしょうか。

 

夏は労災が多い?

令和4年度のまとめでは、新型コロナウイルへのり患を除く労働災害による死亡者数は、

774人と過去最少となりました。

一方、休業4日以上の死傷者数は約13万人と過去20年で最多となりました。

 

季節別に労災の発生件数をみると、

冬(12月~2月)は約34,000件に対し、夏(6月~8月)は約33,800件となり、

突出して夏が多いわけではないことが分かります。

ですが、夏は「夏に起こりやすい労災」があることも分かっています。

 

夏特有の労災

①熱中症

「夏の労災」と聞いてまず思い浮かぶのは「熱中症」ではないでしょうか。

昔は「熱射病」とも呼ばれ、炎天下での作業が原因と考えられていました。

しかし現在は、炎天下や激しい作業中でなくても温度・湿度の条件がそろってしまうと、

体温調節機能が働かなくなり、救急搬送されたり、ひどい場合は死亡するケースもあります。

 

職場においては、令和4年の速報値では、熱中症による死傷災害について業種別にみると、

全体の約4割が建設業と製造業で発生しています。

多くの職場では「暑さ指数」を把握しておらず、熱中症予防の労働衛生教育を行っていませんでした。

また、熱中症発症時の適切な対処・措置が取られていませんでした。

熱中症による労災を防ぐためにも、職場全体で予防に取り組んでいきましょう。

 

熱中症予防ポータルサイト→https://neccyusho.mhlw.go.jp/

 

 

②感電

感電とは、

・電気製品や電気設備の不適切な使用
・電気工事において何らかの原因で人体又は作業機械が送電線に引っかかったこと
・漏電の発生や自然災害の落雷

などの要因によって人体に電流が流れ、障害を受けることを言います。

 

労災としての感電は、以下の理由により夏に多発すると考えられています。

・作業者が暑さ等により絶縁用保護具、防護服の使用を怠りがちなこと
・軽装により皮膚を露出することが多いこと
・暑さ等により作業時の注意力が低下しがちなこと
・発汗により皮膚自身の電気抵抗や接触抵抗が減少すること

 

感電は致死率の高い災害です。

意識づけだけでなく、しっかりと対策を取っていきましょう。

 

職場のあんぜんサイト(感電)→https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo74_1.html

 

 

③非定常作業

システムの自動化が著しい昨今では、機械設備の保守やトラブルの対処作業など、

いわゆる非定常作業が多く発生します。

また、暑さ等による不具合や夏季休業中のトラブルなど、日常的に行うことが少ない作業や

動作によって労災が起きやすい状況と言えます。

 

非定常作業に対するガイドラインの策定を行い、非定常作業における労災の防止に努めましょう。

 

職場のあんぜんサイト(非定常作業)→https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo25_1.html

 

 

「夏に起こりやすい労災」を知ることで、今一度職場の安全衛生について考えてみてはいかがでしょうか。

職場環境の改善に5S活動を

令和4年5月に発表された、令和3年の労働災害発生状況の取りまとめによると、

死傷者数が最多の事故型は「転倒」、次いで「動作の反動・無理な動作」(新型コロナウイルスのり患を除く)となっています。

 

5S活動とは

5S活動とは、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5つの言葉の頭文字「S」をとった言葉で、

安全で健康な職場づくり・生産性の向上を目指す活動を指します。

例えば、社内を「清掃」「清潔」を行うことで足元の動線が良くなり転倒を防止したり、

「整理」「整頓」をすることで無理な姿勢を取らなくてもよくなったり、

労災事故の防止や、職場環境の改善により生産性向上へと繋がります。

 

整理 …不要なものを捨てること

 不要品、誰が管理しているか不明のものがないか。必要か不要か、を定期的に判断する。

 例)傘立て、冷蔵庫の中、部屋の隅、棚の中や上、社有車の中、更衣室のロッカーの上・中、

   机の下、パソコン内のデータ

 

整頓 …使いやすく並べて表示すること

 必要な時に使いやすい収納場所であることを目的として(地震対策も考慮)、余裕を持った収納場所を確保し、

 消耗品は使用する場所の近くに補充品を保管する。

 収納位置が誰にも分かりやすいように表示すると良い(文字や写真)。

 

清掃 …きれいに掃除をしながらあわせて点検すること

 定期的に清掃を行う。

 例)机・棚の上のホコリ、コンセント周辺のホコリ、ごみ箱の周辺、シュレッダー周辺、

   パソコン周辺、水回り、共用の冷蔵庫内、電子レンジ内、窓回り、ホワイトボード(ボード面、ペンを置くところ、イレーサー)

 

清潔 …きれいな状態を維持すること

 共用スペースを清潔に保つ。感染症対策として、消毒薬の管理(使用期限、補充など)、

 職場で感染症が広がらないように手指消毒の環境を整える。

 

しつけ …きれいに使うように習慣づけること

 社内での習慣づけを行う。

 例)ものを使用したら、整頓された元の場所に戻す。補充する。

   離席するときは椅子を戻す。

   ドア・引き出しは開けたら閉める。

 

 

 

5S活動は、期末や大掃除のタイミングから心がけるようにし、それを社内・部署内で定着させるための習慣性が重要と言えます。
新年度も近づいている今、職場内で取り掛かってみてはいかがでしょうか。
まずは一人一人の心がけ・習慣づけとして、自席の周りの5Sから始めてみてもいいですね。

【6月の安全衛生メモ】梅雨時期の交通事故に注意しましょう

間もなく梅雨の時期がやってきます。

じめじめと続く長雨は、交通事故が起こりやすい環境を作ります。

視界不良による事故、水たまりなどでのスリップによる事故を防ぐためにも、

社用車などの車両点検や安全運転に対する啓発活動などを行っていきましょう。

 

梅雨時期の交通事故

1年を通して最も交通事故が多い時期は12~1月ですが、6月もまた事故件数は多くなります。

梅雨時期の事故には、他の季節にはない事故の原因があります。

 

・雨による視界の悪化

雨が降ることでフロントガラスは濡れ、視認性が悪化します。また、ワイパーを使用することでさらに視界は悪化します。

「視界の悪化」は交通事故の大きな要因の一つです。

 

・雨音による社外と社内の音の遮断

車の運転時、運転手は情報の8割を目から得ていると言われています。そして、それ以外は耳からの情報を頼りに運転をしています。

雨の中運転する時、先述の通り視認性の悪化がありますが、雨音によって耳から入る情報もおろそかになってしまいます。

晴天時に運転する際に頼りにしている、周囲からのエンジン音やクラクション、人の話し声などが聞こえないために、衝突事故が増えてきます。

 

・雨による路面の悪化

雨が降ることで道路が濡れ、スリップ事故が起こりやすくなります。

また、ハイドロプレーニング現象によって、車の制動距離が長くなることも知られています。

これらは、「スピードの出しすぎ」「タイヤの摩耗」「タイヤの空気圧不足」によってさらに危険性が増します。

 

・歩行者側の行動

梅雨時期の事故は、歩行者の行動も原因となることがあります。

雨の日は、歩行者は傘をさして歩くため視界が悪化します。また、うつむきがちにもなります。

そして、雨音により周囲の音が遮られ、近づく車の音に気付かず、急に進路変更したり道路横断したりする場合もあります。

つまり、運転手も歩行者も、どちらも「視界の悪化」「周囲の音との遮断」が起こるため、事故が増えることに繋がっていきます。

 

安全運転対策を講じましょう

梅雨時期の運転は「視界の悪化」「路面の悪化」「聴力の悪化」の3点を意識して、注意深い運転が必要です。

また、周囲の車や歩行者も同じく状況が悪化していることも理解する必要があります。

「スピードを出しすぎない」「ハイビームを点ける」「ブレーキを早めに踏む」など、普段以上に安全運転を心がけましょう。

 

また、車のメンテナンスを怠らないことも事故を防ぐために重要な対策です。

水滴をしっかりととるためのワイパー点検、視界をよくするためのフロントガラスの撥水加工、スリップ事故の危険を減らすためのタイヤ交換など、本格的な梅雨を前にチェックをしましょう。

 

事業所内でリーフレット配布や朝礼などで安全運転に向けた注意喚起を行うことも、安全運転対策には効果的です。

 

 

【5月の安全衛生メモ】熱中症のリスクは5月から

5月に入り、日中の気温が25℃を超える「夏日」となる日も増えてきました。

「まだ5月なのに暑い!」と感じている方もいるのではないでしょうか。

すると、この時期から心配されるのは「熱中症」です。

熱中症といえば「暑い夏の日に炎天下の中で起こるもの」というイメージですが、実は5月~6月から熱中症による搬送事例が増えてきます。

 

熱中症とは

「熱中症」とは、高温多湿な環境下において、体内の水分および塩分のバランスが崩れたり、循環調節や体温調節などの体内の重要な調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称です。

症状としては、めまい・失神、筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・不快感・嘔吐・倦怠感、意識障害・痙攣などが現れます。

熱中症にかかりやすい気象条件としては、①急に気温が上がる日②風が弱く湿度が高い日の2つです。

5月から①②の条件となる日が増えてくるため、注意が必要です。

 

 

職場での熱中症

厚生労働省が公表した「令和3年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(令和4年1月14日時点速報値)によれば、
職場での熱中症による死亡者および休業4日以上の業務上疾病者の数は、令和3年に547人となりました。うち死亡者は20人となっています。

2017年~2021年の業種別の熱中症死傷者数をみると、建設業、次いで製造業、運送業で多く発生していました。

また、死亡者数では、建設業、次いで製造業、警備業、商業の順に多く発生していました。

入職直後で暑熱順化※1が不十分とみられる事例や、WBGT値※2の実測がなく、必要な措置が講じられていなかった事例もありました。

  ※1…体が暑さに慣れること。体内で作られた熱を、汗による気化熱や体の表面からの熱放散により体温を調節するサイクルをすすめることが重要。
   ※2…気温、湿度、輻射(放射)熱から算出される暑さの指数。運動や作業の度合いに応じた基準値が定められている。

 

 

STOP!熱中症 クールワークキャンペーン

厚生労働省は、職場における熱中症予防対策を徹底するため、5月から9月まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています。

全ての職場において、基本的な熱中症予防対策を講じるよう広く呼び掛けるとともに、①初期症状の把握から緊急対応までの体制整備②暑熱順化が不足している労働者への対応③WBGT値を把握し、それに応じた適切な対策を講じることなどの徹底を図っています。

「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」リーフレット

 

熱中症予防のためにできること

  1. 運動や入浴で汗をかく体を作る…汗をかける体になっていないと体内に熱が溜まりやすくなります。適度な運動やお風呂のお湯に浸かることで、汗をかく体を作りましょう。
  2. こまめな水分補給…のどが渇いていなくても水分をとる習慣をつけましょう。のどの渇きを感じてから大量に飲むのではなく、こまめにスポーツドリンクや塩飴などを補給するよう心がけましょう。
  3. 服装による体温調節…朝晩と昼の気温差が大きいことも、体温調節機能を狂わせます。体温調節のしやすい脱ぎ着しやすい服装で、熱を溜めない工夫をしましょう。
  4. 日常の健康管理…しっかりと食事をとり、十分な睡眠をとりましょう。多量の飲酒による二日酔い状態や朝食の未摂取、体調不良での業務は熱中症のリスクが高まります。

 

気象庁によると、今年の6~8月の平均気温は全国的に例年より高いと予想されています。
暑さ対策の職場環境を整えることは事業者の責務と言えますが、働く人ひとりひとりにもできる対策があります。
熱中症のリスクが更に高まる7・8月に向けて、5月から夏を乗り切る丈夫な体を作っていきましょう。

 

<参考リンク>

「学ぼう!備えよう!職場の仲間を守ろう!職場における熱中症予防情報」(厚生労働省HP)

熱中症予防のための情報・資料サイト(厚生労働省HP)

【安全衛生メモ】新入社員への安全衛生教育【安全衛生メモ】新入社員への安全衛生教育

新年度が始まり、各企業にも新入社員が多く入ったことと思います。

この春が社会人デビューの新入社員は、現場の知識、技術、技能だけでなく、

安全意識も未熟なため、労働災害の発生を防止するためには適切な安全衛生教育を行う必要があります。

 

新入社員が入社すると、会社の事業内容から具体的な仕事の方法まで、さまざまな教育が行われます。

安全衛生教育もその一つです。

製造業や建設業では「転落防止」「転倒防止」など教育内容が具体的であるのに比べ、

いわゆるホワイトカラーの業種では、安全衛生教育そのものは実施されていない、あるいは「何をやったらいいかわからない」と言われます。

 

デスクワークでも安全衛生教育は必要

安全衛生教育の具体的な内容については、以下の8項目が規則で定められています。

 

  1. 機械等、原材料等の危険性または有害性及びこれらの取扱い方法に関すること
  2. 安全装置、有害物抑制装置または保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること
  3. 作業手順に関すること
  4. 作業開始時の点検に関すること
  5. 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること
  6. 整理、整頓及び清潔の保持に関すること
  7. 事故時等における応急措置及び退避に関すること
  8. 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全または衛生のために必要な事項

 

事務作業中心のオフィスワークや飲食店においては、1~4の教育は省略できるとされています。

では、5~8の教育は、どのように行えばいいでしょうか。

 

まず、「5.当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること」については、

パソコンの長時間使用や立ちっぱなし・座りっぱなしによる腰痛、運動不足による生活習慣病などについて行いましょう。

 

「6.整理、整頓及び清潔の保持に関すること」については、

整理整頓は、清潔保持の観点だけでなく、災害時の危険防止・避難行動の妨げにならないためにも大切な課題です。

 

「7.事故時等における応急措置及び退避に関すること」については、

災害時の避難ルートの確認や適切な初期消火活動など、またオフィス周辺の状況把握(近くに工場がある、交通量の多い道路があるなど)を取り入れるようにしましょう。

 

最後に「8.前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全または衛生のために必要な事項」については、企業の内情に即した教育を盛り込みましょう。

例えば、「入寮する社員が多いので生活リズムを崩さないように」「社員の男女比がアンバランスなので、パワハラ・セクハラの相談窓口の紹介」などがあります。

 

安全衛生教育は「健康投資」

最近では、パワハラ対策が企業の義務になったり、メンタルヘルスに対する理解が高まったり、

企業が従業員の健康に投資することで企業価値を高めていく「健康投資」の概念も生まれています。

 

運送業や建設業、製造業などの機械や危険性のあるものを扱うことが多い業種に限らず、

幅広い業種で安全衛生教育を行うことが求められてくるでしょう。

これからの企業を支えていく新入社員の健康を守っていくことも、健康投資の大事なポイントです。

【2月の安全衛生メモ】転倒予防・腰痛予防キャンペーン【2月の安全衛生メモ】転倒予防・腰痛予防キャンペーン

現在厚生労働省では「スベッチャダメよ!転倒予防 ムチャしちゃダメよ!腰痛予防」のキャンペーンを実施中です。

厚生労働省のHPでは、芸人の西川きよしさんがリーダーとなり、人気芸人が転倒・腰痛予防の方法を分かりやすく紹介しています。

 

転倒予防・腰痛予防の取り組み(厚生労働省HPより)

画像をクリックすると厚生労働省HPにリンクします

転倒予防

 

転倒災害は依然として休業4日以上の死傷災害の中で最も件数が多く、年間3万人近くにのぼり、約4分の労働時間に1人の頻度で発生している計算になります。

 

 

 

転倒災害には3つの典型的なパターンがあります。

  1. すべり
  2. つまずき
  3. 踏み外し

 

転倒災害を防止するためには

〇日頃から整理・整頓・清掃・清潔(4S)に取り組むこと

〇転倒しにくい方法で作業すること

  (時間に余裕をもって行動する・足元の見えない状態で作業しない・すべりやすい場所ではゆっくり歩く、など)

〇作業に適した靴を選び、定期的に点検すること

〇職場の危険マップを作成し、危険情報を共有すること

〇転倒の危険性がある場所にスタッカーを掲示するなど、注意喚起を行うこと

などが重要です。

 

腰痛予防

 

腰痛を発症、または症状を悪化させる要因は様々ありますが、職場環境においては大きく3つに分けられます。

 

 

 

 

  1. 動作要因…重量物を頻繁に上げ下ろしする、腰を曲げたりひねったりすることが多い、長時間同じ姿勢で作業をする、など
  2. 環境要因…体が寒冷にさらされる、車輛運転など全身振動に長時間さらされる、職場が乱雑でスムーズな行動がとれない、など
  3. 個人的要因…慢性的な腰痛を抱えている、急いでいるため一人で作業することが多い、満足な睡眠がとれていない、など

 

腰痛は、何か一つだけの要因で発生することは少なく、これらの要因が複合的に関与して発生します。

 

腰痛の発症を防止するためには

〇作業姿勢・動作を適正なものをとる

〇作業環境を適正に管理する

〇使用する機器、設備、作業方法などを実態に応じたものにする

〇健康管理(健康診断やその結果に基づく事後措置など)を怠らない

などが重要です。

 

職場環境を整え、「転倒事故ゼロ・腰痛ゼロ」を目指しましょう。

 

<参考リンク>(厚生労働省HPより)

転倒予防・腰痛予防の取り組み

職場における腰痛予防サイト

【1月の安全衛生メモ】令和4年1月2日~旧規格に基づく安全帯の使用が禁止になっています【1月の安全衛生メモ】令和4年1月2日~旧規格に基づく安全帯の使用が禁止になっています

平成31年1月に告示された「墜落制止用器具の規格」の経過措置期間が終了し、
令和4年1月2日より旧規格の安全帯が廃止され、フルハーネスの使用が原則となっています。


また、従来「安全帯」として使用可能だった「胴ベルト(一本つり)」「胴ベルト(U字つり)」「ハーネス型(一本つり)」が、本改正後は「胴ベルト(一本つり)」「ハーネス型(一本つり)」のみとなり、「胴ベルト(U字つり)」の使用は認められません。


さらに、「安全帯」の名称が「墜落制止用器具」に改められています。

「墜落制止用器具の規格」の概要


●定義:フルハーネス、胴ベルト等の用語を定義します。
●使用制限:(1)6.75メートルを超える高さの箇所で使用する墜落制止用器具はフルハーネス型(※3)のものでなければならないこと、(2)墜落制止用器具は、着用者の体重とその装備品の質量の合計に耐えるものであること、(3)ランヤードは、作業箇所の高さ・取付設備等の状況に応じ、適切なものでなければならないことを定めます。
●構造、部品の強度、材料、部品の形状、部品の接続:墜落制止用器具の構造、部品の強度、材料、部品の形状、部品の接続について、求められる要件とそれを確認するための試験方法等を定めます。
●耐衝撃性等:墜落制止用器具とその部品に求められる耐衝撃性等を確認するための試験方法等を定めます。
●表示:墜落制止用器具とその部品に求められる表示の内容を定めます。
●特殊な構造の墜落制止用器具等:特殊な構造の墜落制止用器具または国際規格等に基づき製造された墜落制止用器具に対する本規格の規定の適用除外について定めます。

※3 フルハーネス型墜落制止用器具

引用:厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03290.html

 

選定要件やガイドライン、点検・保守・保管・廃棄基準など、詳しくは「安全帯が「墜落制止用器具」に変わります!」(リーフレット)をご参照ください。

安全性の確保された墜落制止用器具で、安全に作業を行いましょう。

【12月の安全衛生メモ】12月1日から年末年始無災害運動~年末年始も 安全作業 あなたが無事故の キーパーソン~【12月の安全衛生メモ】12月1日から年末年始無災害運動
~年末年始も 安全作業 あなたが無事故の キーパーソン~

仕事に追われる年末は、例年、労働災害が増加する時期といわれています。
慌ただしい中にあっても慎重な仕事を心がけ、周りの人にも一声かけて、職場ぐるみで安全な作業に取り組むことができるよう、事業場内の活動状況に配慮しましょう。

具体的には、厚生労働省労働基準局安全衛生部からは、次の点について注意し取り組むよう要請されています。

  • 全ての事業場において、経営トップの方が自ら先頭に立ち、安全衛生管理体制やその活動状況、墜落・転落災害対策、機械設備等の安全対策、安全衛生教育について確認をお願いします。
  • 建設業においては、足場からの墜落・転落災害が増加しています。昨年7月に墜落・転落措置について改正労働安全衛生規則が施行されています。また、より安全な足場とするための措置について通達が出ていますので、これらの墜落・転落防止対策を確実に行っていただくようお願いします。また、冬期の建設工事ではCO中毒の発生も気を付けないといけません。養生のための練炭や密閉された場所での発動機の使用については、特に注意をお願いします。
  • 陸上貨物運送事業においては、運転業務に就かれている方々の睡眠時間を十分に確保していただき、無理のない適正な運転時間になる走行計画の作成をお願いします。また、睡眠不足が著しい場合には、運転業務に就かせないようお願いします。なお、貨物自動車以外も含めますと自動車の運転は業種に関わらずにあるものです。死亡労働災害の20%以上が交通事故によるものですので、安全運転を心がけていただくようお願いします。
  • 林業や警備業においては、昨年を大幅に上回る死亡労働災害が発生しています。林業については間伐作業や新規入職者への安全衛生教育、警備業については交通誘導警備業務以外での労働災害の防止(建設現場において重機に巻き込まれる等)に特に気を付けていただくようお願いします。
  • 冬期は積雪や凍結による労働災害に注意が必要です。除雪作業における事故はもちろんですが、建設業では足場の凍結による転倒、そして墜落・転落や場所によっては雪崩への備えも必要です。また、積雪や凍結によって歩行中に転倒したり、自動車事故に遭うといったことは、あらゆる業種で起こりえますので、この点についても注意をお願いします。
  • その他、本年は猛暑の影響もあって、熱中症による死亡労働災害がかつていない程発生しました。来年の夏への備えになりますが、熱中症の予防対策として、労働者の休憩場所の整備、作業時間の短縮、水分・塩分の摂取、透湿性、通気性のよい服装の着用についても検討しておかれるようお願いします。

年末年始無災害運動

中央労働災害防止協会(中災防)は、働く人が年末年始を無事故で過ごし、明るい新年を迎えることができるよう事業場等の取り組みを促進する趣旨で、厚生労働省の後援のもと「令和3年度年末年始無災害運動」を実施します。
この運動は 1971(昭和 46)年から中災防が主唱するもので、今回で51回目となります。本年度は 2021(令和 3)年 12月1日から2022(令和4年1月15日までを実施期間とし、下記の運動標語の下、展開されます。

運動標語:「年末年始も 安全作業 あなたが無事故の キーパーソン」

中災防「令和3年度 年末年始無災害運動 特設ページ」

【11月の安全衛生メモ】11月は過重労働解消キャンペーンが実施されています

厚生労働省は、「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施し、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組を集中的に行っています。

実施期間 令和3年11月1日(月)から11月30日(火)までの1か月間

▶厚生労働省 過重労働解消キャンペーン

期間中は、過重労働が行われている事業場などへの重点監督が実施されます。
重点的に確認されるとする事項は次の通りです。

  • 時間外・休日労働が「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36協定)の範囲内であるか等について
  • 賃金不払残業が行われていないかについて
  • 不適切な労働時間管理について
  • 長時間労働者に対する、医師による面接指導等、健康確保措置について

 

過重労働解消キャンペーンを機に、

  1. 時間外・休日労働時間等の削減

  2. 年次有給休暇の取得推進

  3. 健康管理体制の整備

等に取り組み、過重労働による健康障害の防止に積極的に取り組みましょう。

 

就業規則や36協定の見直し、健康診断・ストレスチェックの実施、勤怠管理システムの導入等、過重労働の解消への取り組みは、お気軽に当法人担当者へお寄せください。

【10月の安全衛生メモ】10月10日は「転倒予防の日」~転倒による労働災害を予防しましょう~【10月の安全衛生メモ】10月10日は「転倒予防の日」
~転倒による労働災害を予防しましょう~

10月10日は日本転倒予防学会が制定する「転倒予防の日」です。

職場での転倒災害は、令和2年で30,929件(休業4日以上)と労働災害で最も多く、近年増加傾向にあります。今年も前年同期比で約2割増(令和3年9月速報値)と大きく増加しています。転倒災害は、その約6割が休業1か月以上と重症化するものも多く、特に50代以上の女性で多く発生しています。
転倒予防は、女性や高齢者が益々活躍できる社会の実現のためにも、大変重要な課題です。

転倒予防の日を機に、自社の労働環境をチェックしてみましょう。
安全衛生委員会等で安全巡視(パトロール)の点検項目も定期的に見直しを協議することも大切です。

また、作業場の段差の解消、照明の改善、リフトの導入などには、補助金が活用できる場合があります。

⇒令和3年度エイジフレンドリー補助金 ※令和3年度の締め切りは10月31日

⇒転倒・腰痛予防体操(YouTubeにリンクしています。)

【関連リンク】
厚生労働省報道発表 10月10日は「転倒予防の日」、職場での転倒予防に取り組みましょう!

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