【10月の給与計算メモ】時給者の年次有給休暇取得時の賃金計算方法

先月の当ホームページお知らせにも掲載しておりますように、10月は厚生労働省により「年次有給休暇取得促進期間」とされています。
そこで、【10月の給与計算メモ】は、時給者の年次有給休暇取得時の計算方法を取り上げたいと思います。※「パートでも有給はとれるの?」といったご質問は、こちらをご参照ください。

時給者や日給者が年次有給休暇を取得した場合、支給する賃金についてどのような計算をすればよいか、賃金規程、雇用契約書等に詳細に定めていないこともあるかもしれません。
特に、シフト制で日々の所定労働時間が固定されていない時給者の場合、どのように計算すればよいのでしょうか。

有給休暇を取得した場合の賃金については、労働基準法39条7項に算出方法が定められています。

  1. 平均賃金(労働基準法12条)

  2. 通常の賃金(所定労働時間を労働した場合に支払われる賃金)

  3. 標準報酬日額(健康保険法99条)

3は労使協定の締結が必要とされており、社会保険に未加入のパートやアルバイト労働者も対象者とすることになりますので、実務上は1または2で算出することが多くなります。

また、1日の所定労働時間が変動するため、1が一番正確な方法と言えますが、実際に給与計算をするなかで、個別に年休取得の都度平均賃金を算出することは大変煩雑な処理となり、現実的ではありません。
結果、2の「通常の賃金」で処理することが一般的です。

しかし、1日の所定労働時間が明確な場合は、「時給×所定労働時間数」で簡単に算出できますが、シフト制などで日々の所定労働時間がバラバラな場合には取得する日ごとに算出しなければなりません。

そこで、標準となる所定労働時間を労働契約の締結時に明示し、有給休暇取得時の給与条件として確定しておくことをおすすめします。

勤怠システムなどを利用している場合は、シフトを決める際に有給休暇取得の予定日も含めて所定労働時間を設定し、月次の労働時間の集計に反映させることになりますが、休む当日まで所定労働時間が確定できないような場合でも、標準となる所定労働時間を確定しておけば対処可能です。(標準とした所定労働時間と実態が乖離していないことが前提です。)

2019年の法改正に伴い、時給者の有給休暇取得の給与計算をする機会が増えていると思います。
毎月正確に計算をするためにも、労働契約の内容や労働条件変更の際の処理手順をしっかり確認しておきましょう。

年次有給休暇の管理、給与計算等についてはお気軽に当法人担当者へご相談ください。

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