【相談の現場から】賃金のデジタル払いについて

今回は現場に寄せられた質問から、賃金のデジタル払いについてご紹介します。

Q.従業員より賃金のデジタルの希望があった場合、使用者は必ず応じないといけないのでしょうか?

賃金のデジタル払いは選択肢の一つです。労働者のみならず、使用者に対しても導入を強制するものではありません。

また、デジタル払いを導入した事業所においても、

すべての労働者の現在の支払い方法・受け取り方法の変更が必須となるわけではありません。

労働者が希望しない場合は、これまで通り銀行口座などで受け取ることができます。

 

賃金のデジタル払いとは

労働基準法では賃金は現金払いが原則ですが、労働者が同意した場合、銀行口座などへの賃金の振り込みが認められています。

キャッシュレス決済の普及や送金手段の多様化のニーズに対応するため、労働者が同意した場合には、

一部の資金移動業者(厚労省が指定した資金移動業者(●●Payなど)のみ)の口座への賃金支払が認められることになります。

 

導入にあたっての注意点

●事前の労使協定の締結が必須

●受け取り額の適切な設定を

 …賃金の一部を指定資金移動業者口座で受け取り、その他は銀行口座で受け取ることも可能です

●口座の上限額は100万円

●口座残高の払い戻し期限は少なくとも10年間

●現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払は×

 

<関連リンク>

賃金のデジタル払いが可能になります!(厚労省リーフレット)

【12月の給与計算メモ】10月に昇給した方はいませんか~最低賃金引き上げによる月額変更~

最低賃金とは

最低賃金は、最低賃金法にもとづいて国が賃金の最低限度を定めたもので、雇い主は最低賃金以上を労働者に支払わなければなりません。

今年度の改定では、全国加重平均額で961円となりました。

もし、労使で最低賃金額より低い賃金で合意していたとしても無効となります。最低賃金未満の場合は、雇い主が労働者に差額を支払う必要があります。

<関連リンク>
厚生労働省 特設サイト

過去最大の上げ幅(全国平均31円)となった今回の改定に合わせ、従業員の最低賃金が引き上げられた場合、多くの従業員の「給与額」が増額し、随時改定(月額変更届)の対象になる可能性があります。

随時改定(月額変更届)とは

被保険者の報酬が、昇(降)給等の固定的賃金の変動に伴って大幅に変わったときは、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します。これを随時改定といいます。

随時改定は、次の3つの条件を全て満たす場合に行います。

  1. 昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。
  2. 変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
  3. 3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。


随時改定には、固定的賃金に変動があることが必要です。
固定的賃金とは、支給額や支給率が決まっているものをいいますが、その変動には、次のような場合が考えられます。

 

  • 昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
  • 給与体系の変更(日給から月給への変更等)
  • 日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更
  • 請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更
  • 転居等に伴う通勤手当の変更
  • 住宅手当、役付手当等の固定的な手当の追加、支給額の変更

 

月額変更届は3ヵ月の報酬の平均をみて届出しますので、固定的賃金を変更した後4ヵ月目から変わります。給与の社会保険料控除は事業所で定められますので、当月もしくは翌月となります。

10月支給給与から時給 UP⇒1月月額変更

11月支給給与から時給 UP⇒2月月額変更

となる可能性があるため注意が必要です。

最低賃金改定や月額変更についてのご相談はお気軽に当法人担当者までお寄せください。

【3月の給与計算メモ】新年度に向けた準備を始めましょう【3月の給与計算メモ】新年度に向けた準備を始めましょう

3月の給与計算メモでは、新年度に向けた準備、また気を付けておきたいことについて取り上げたいと思います。

企業にとって新年度は、新卒者・新規採用者を迎える、異動者を迎える・送り出すなど人の動きが活発になる時期と言えます。

また、3月には「健康保険料率」、4月には「雇用保険料率」の改定が行われます。
新規採用者や異動者などの給与決定と同時に、既存の従業員も含めて改定後の料率での控除額に変更する作業が必要となります。

 

3月中に行っておきたいこと

新規採用者・異動者の給与決定

就業規程・給与規程に沿った決定が必要となります。最新の給与規程を確認しておきましょう。

 

4月に64歳以上になる従業員の把握

4月1日時点で64歳以上の人(その年度に65歳になる人)は、雇用保険料が免除となります。

以後の給与から雇用保険料は控除されません。

誕生月による免除ではないので注意が必要です。

 

健康保険料率・雇用保険料率の確認

令和4年3月からの健康保険料率・介護保険料率の変更が公開されています。

令和4年度保険料額表(令和4年3月分から)

 

広島県は健康保険料率が10.09%となり、全国一律の介護保険料率は1.64%となっています。

厚生年金保険料率は変更なく18.3%です。

 

給与の場合は、3月保険料から料率を変更する必要があります。

翌月徴収の企業の場合は4月払いの給与から変更を、
当月徴収の企業の場合は3月払いの給与から変更します。

 

賞与は、給与の翌月徴収・当月徴収に関わらず、3月払いの賞与額に対して新料率での計算が必要となります。

 

新年度になると、労働保険年度更新や月額算定基礎届の提出など、ボリュームのある作業が待ち構えています。
年度末のこのタイミングで、新年度に向けた準備・新年度からの年度スケジュールを確認し、
余裕をもって給与計算を行える環境を整えていきましょう。

 

給与計算業務のアウトソーシング、就業規則の見直しなど労務に関するご相談はお気軽にお寄せください。

フクシマ社会保険労務士法人 事業内容

【1月の給与計算メモ】年間スケジュールを確認しておきましょう

1月の給与計算メモでは年間スケジュールについて取り上げたいと思います。
給与計算は月単位の業務ですが、前月の計算結果から当月の給与計算へ、さらに来月へと処理の流れがあります。
また、毎月の処理に加えて、年次業務も意識して進めることが大切です。
毎月の処理で管理が済むことと、年間での情報管理が必要なことがありますので、正確に処理をするために年次のスケジュールもチェックしておきましょう。

給与計算業務では1月から12月までの1年で管理するとわかりやすいのですが、4月から翌年3月までの年度で管理したり、決算期に応じた管理なども考えられますので、自社にあった1年の区切りで管理するとよいでしょう。

主な流れ(例)

1月

法定調書の提出(税務署)

給与支払報告書の提出(市区町村)
扶養親族変更の確認

2月
3月 新規採用者、異動者の給与決定
4月 新卒社員・異動社員の給与設定
定期昇給
健保・介護保険料率の変更反映
5月

4月入社社員の社保料控除開始

(社保料が翌月給与から控除の場合)

6月 住民税の新年度控除額を登録
賞与の計算(6月賞与支給の場合)
7月

労働保険:年度更新(保険料計算)
社会保険:算定基礎届提出、4月昇給者の随時改定(月額変更届)

8月 4月昇給による随時改定者の社会保険料改定
9月 厚生年金保険料率の変更
10月

月に算定基礎届を提出した者の社会保険料改定

(社保料が翌月給与から控除の場合)

11月 年末調整準備(社員に案内、必要書類の配布)
12月 賞与支給
年末調整実施

 

 

このように年間を通じてみたとき、一般的には4月(入退社や異動に伴う登録や設定変更)、6〜7月(労働、社会保険の手続きのための集計、賞与支給)、11〜12月(年末調整、賞与支給)、1月(法定調書、給与支払報告)が繁忙期となります。
繁忙期を意識し、余裕のあるうちに、マニュアルの確認、行政機関からの情報入手、配布・回収する内容の整理などの準備を進めておきましょう。

その他、社会保険の変更、システム導入や給与計算のアウトソーシングはお気軽に当法人担当者へお問い合わせください。

【12月の給与計算メモ】10月に昇給した方はいませんか~最低賃金引き上げによる月額変更~【12月の給与計算メモ】10月に昇給した方はいませんか
~最低賃金引き上げによる月額変更~

最低賃金とは

最低賃金は、最低賃金法にもとづいて国が賃金の最低限度を定めたもので、雇い主は最低賃金以上を労働者に支払わなければなりません。
今年度の改定では、全国加重平均額で930円となりました。
もし、労使で最低賃金額より低い賃金で合意していたとしても無効となります。最低賃金未満の場合は、雇い主が労働者に差額を支払う必要があります。

<関連リンク>
厚生労働省 令和3年度地域別最低賃金改定状況

厚生労働省 特設サイト

過去最大の上げ幅(全国平均28円)となった今回の改定に合わせ、従業員の最低賃金が引き上げられた場合、多くの従業員の「給与額」が増額し、随時改定(月額変更届)の対象になる可能性があります。

随時改定(月額変更届)とは

被保険者の報酬が、昇(降)給等の固定的賃金の変動に伴って大幅に変わったときは、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します。これを随時改定といいます。
随時改定は、次の3つの条件を全て満たす場合に行います。

  1. 昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。
  2. 変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
  3. 3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。


随時改定には、固定的賃金に変動があることが必要です。
固定的賃金とは、支給額や支給率が決まっているものをいいますが、その変動には、次のような場合が考えられます。

  • 昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
  • 給与体系の変更(日給から月給への変更等)
  • 日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更
  • 請負給、歩合給等の単価、歩合率の変更
  • 転居等に伴う通勤手当の変更
  • 住宅手当、役付手当等の固定的な手当の追加、支給額の変更

月額変更届は3ヵ月の報酬の平均をみて届出しますので、固定的賃金を変更した後4ヵ月目から変わります。給与の社会保険料控除は事業所で定められますので、当月もしくは翌月となります。

10月支給給与から時給 UP⇒1月月額変更

11月支給給与から時給 UP⇒2月月額変更

となる可能性があるため注意が必要です。

最低賃金改定や月額変更についてのご相談はお気軽に当法人担当者までお寄せください。

【年末調整③】年末調整が12月の給与支給日に間に合わない問題

年末調整は、12月の給与か賞与の最後の支給に合わせて行い、年間の確定税額との過不足額を反映させることがもっとも一般的な処理方法です。
しかし、給与の支給日が毎月10日や15日などで、12月の給与支給日以降賞与の支給がないときなどは、12月の早い時期に年末調整を終えなければなりません。(12月給与支給後に賞与の支給がある場合は、賞与の支給時に年末調整の結果を反映させことになります。)
この場合、当年最後の給与(賞与)支給日までに年末調整の結果を反映させることが難しいこともあります。
そのような場合は「単独年調」という方法をとることができます。

単独年調とは

単独年調とは12月の給与計算と賞与計算はそれぞれ通常通り行い(源泉所得税もいつもと同じように控除)、12月末までに支給する給与や賞与がすべて確定したのちに、年末調整の計算のみ単独で行う方法です。
単独年調によって算出された、当年の確定所得税額と源泉徴収税額の累計額との過不足額の還付・徴収については、現金で精算するか、1月の給与支給時に1月分の給与に対する源泉所得税とは別に精算するか、どちらかで対応します。

導入(変更)時は慎重に

給与年調を単独年調に変更する場合、その逆もそうですが、実際に還付・徴収される対象従業員様へ事前に周知をされることをお勧めします。
(例年単独年調していて、ある従業員さんは現金還付分をヘソクリに。。。なんてご家庭の事情も過去にはよく聞いたものです。)
思わぬトラブルになることもありますので、変更は慎重に検討しましょう。

そのほか、年の途中で年末調整が必要となる、死亡退職や対象者が非居住者となる場合には、単独年調をすることになります。
給与計算ソフトをご利用の場合は、ソフトによって取り扱いが異なりますので、マニュアルなどをご確認ください。

【年末調整②】中途入社者の「前職の源泉徴収票」は入社時に回収がおすすめ

そろそろ年末調整にとりかかっておられる企業様も多いと思います。
そこで、準備のポイントをいくつかご紹介していきます。

ご存じのように、その年に中途入社した社員がいる場合には、その社員から当年の「前職の源泉徴収票」を提出してもらい、その金額を合算して処理することになります。

その前職の会社から発行された源泉徴収票には、前職の会社から支払われた給与支払金額(通勤手当などの非課税支給額はのぞく)、控除された社会保険料と源泉所得税が明記されているはずです。
これらの情報は、当社で年末調整を行う際に必要となります。

前職の源泉徴収票は、いつ提出してもらうとよいでしょうか。

年末調整時に回収しようとすると、紛失や再交付などで時間かかかってしまうこともあり、また、入社時に本人が前職の給与額等を自己申告していた場合には、その自己申告した情報との整合性を確認するという観点からも、

いちばんよいのは「入社時」です。

前職の源泉徴収票は、なるべく他の入社時の提出物と合わせて、入社後遅滞なく提出するというルールにしておくことをお勧めします。

10月、11月に転職をした場合には、年末調整までに、前職の源泉徴収票が間に合わないケースも考えられます。
その場合は、年末調整を行っても、前職の源泉徴収票の提出後、年末調整のやり直しをするか、本人に確定申告させることになります。
12月に在籍している人は、会社が年末調整をするのが原則ですので、なるべく期限までに提出を受け、一度で年末調整を済ませられるようにしましょう。

【11月の給与計算メモ】賞与の社会保険料控除

今月の給与計算メモは、賞与の社会保険料控除の取り扱いについて取り上げます。

例年の処理となっている企業様がほとんどだとは思いますが、人事異動や保険料率の改定などで注意が必要な場合もあります。
年末調整の準備と合わせて、給与計算ソフト等のマスタの整備、規程の確認等もしておきましょう。

賞与は、給与とは異なり、法的な制限はなく、それぞれの会社が任意に定め、支給するものです。
一般的には、夏と冬に2回支給されることが多く、そのほかに決算時に決算賞与を支給する会社もあります。
法的な制限がないので、就業規則や賃金規程にどのように規定されているかが重要になります。
慣行で処理され、規程等が整備されていない場合は、(任意ではありますが)トラブル予防のため、

  • 賞与を支給するのか、しないのか、しないことがあるのか
  • 賞与支給の目的(会社の利益還元、業績評価、生活給など)
  • 支給額を決定する基準
  • 算定対象期間
  • 支給対象者
  • 支給額
  • 支給日

などを規定しておくことをおすすめします。

支給日、支給対象者、支給額が決まったら、社会保険料、所得税の控除額等の計算を行います。
40歳以上65歳未満の健康保険被保険者に関しては、「介護保険料」も控除します。
それらの額を差し引いた額が、賞与の手取り金額となります。

社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)の計算方法

標準賞与額 × 保険料率

標準賞与額とは、実際の税引き前の賞与の額から1千円未満の端数を切り捨てたもので、健康保険は年度の累計額573万円、厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円が上限となります。
標準賞与額のもととなる賞与とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与、その他いかなる名称であるかを問わず、被保険者が労働の対償として受けるもののうち年3回以下の支給のものをいいます。なお、年4回以上支給されるものは、標準報酬月額の対象となります。また、労働の対償とみなされない結婚祝金等は対象外です。

賞与となるもの (例) 賞与(役員賞与を含む)
ボーナス
期末手当
決算手当
年末手当
夏(冬)季手当
繁忙手当
勤勉手当
寒冷地手当
越年手当
もち代
年末一時金
自社製品(現物)
賞与とならないもの(臨時で支払われるが、労務の対償でないもの)(例) 災害見舞金
結婚祝金
出産祝金
解雇予告手当
退職手当

日本年金機構ホームページ<厚生年金保険の保険料>
協会けんぽホームページ<賞与の範囲>

40歳等の年齢到達、退職、育休開始・復帰等に注意が必要

社会保険料は、賞与支給日ではなく賞与支給月を基準に算定しますので、控除を行う際には40歳・65歳年齢到達(介護保険料)、退職(資格喪失)、育休開始・復帰等に注意が必要です。

40歳到達

介護保険料は「満40歳に達したとき」より徴収が始まります。
「満40歳に達したとき」とは40歳の誕生日の前日のことであり、その日が属する月から介護保険の第2号被保険者となり、介護保険料が徴収されます。

例:1月2日生まれの方が40歳になる場合

誕生日の前日(介護保険の第2号被保険者の資格取得日)は1月1日のため、誕生日の前日が属する月である1月分より健康保険料とともに介護保険料が徴収されます。
※1月3日から1月31日生まれの方も同様です。

例:1月1日生まれの方が40歳になる場合(誕生日が1日生まれの方はご注意ください)

誕生日の前日(介護保険の第2号被保険者の資格取得日)は12月31日のため、誕生日の前日が属する月である12月分より健康保険料とともに介護保険料が徴収されます。

したがって、賞与支給日が12月1日の場合、翌1月1日生まれで40歳になる方の介護保険料の徴収が必要となります。

65歳到達

介護保険料は「満65歳に達したとき」より徴収されなくなります。
「満65歳に達したとき」とは、65歳の誕生日の前日のことであり、その日が属する月から介護保険の第2号被保険者ではなくなり、介護保険料が徴収されなくなります。
ただし、65歳以降は介護保険の第1号被保険者となり、お住まいの市区町村より介護保険料が徴収されることとなります。

例:1月2日生まれの方が65歳になる場合

誕生日前日(介護保険の第2号被保険者の資格喪失日)は1月1日のため、誕生日の前日が属する月である1月分より介護保険料が徴収されなくなります。
※1月3日から1月31日生まれの方も同様です。

例:1月1日生まれの方が65歳になる場合(誕生日が1日生まれの方はご注意ください)

誕生日の前日(介護保険の第2号被保険者の資格喪失日)は12月31日のため、誕生日の前日が属する月である12月分より介護保険料が徴収されなくなります。

したがって、賞与支給日が12月1日の場合、翌1月1日生まれで65歳になる方の介護保険料の徴収は必要なくなります。

賞与支給月に退職(資格喪失)する場合

従業員が負担する保険料は、被保険者資格を取得した日の属する月から喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月まで発生しますので、退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き、保険料控除の対象となりません。

賞与支給後に退職が決まったような場合は、すでに支給した賞与について社会保険料が過控除となってしまうケースがありますので注意しましょう。

賞与支給月に育休開始・復帰する場合

育児休業期間について、保険料負担が免除される期間は、育児休業等開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月(育児休業終了日が月の末日の場合は育児休業終了月)までです。

例:12月31日から育児休業を開始する場合

12月分より免除となりますので、賞与支給日が12月1日でも控除の必要はありません。

例:11月30日に育児休業が終了(職場復帰が12月1日)した場合

11月分まで免除となりますので、賞与支給日が12月1日の場合は控除する必要があります。

例:12月1日に育児休業が終了(職場復帰が12月2日)した場合

11月分まで免除となりますので、賞与支給日が12月1日の場合は控除する必要があります。

日本年金機構へ提出した「育児休業等取得者申出書」や各種通知書、社内様式(育児休業申出書等)などをきちんと確認して、間違いのないよう控除額の計算を行いましょう。
なお、法改正により、令和4年10月より育児休業期間の保険料免除については取扱いが変わります。ご注意ください。

その他、賞与支給規程、賞与支払届等社会保険の各種手続き、給与計算、育児介護休業についてのご相談はお気軽に当法人担当者へお寄せください。

【10月の給与計算メモ】時給者の年次有給休暇取得時の賃金計算方法

先月の当ホームページお知らせにも掲載しておりますように、10月は厚生労働省により「年次有給休暇取得促進期間」とされています。
そこで、【10月の給与計算メモ】は、時給者の年次有給休暇取得時の計算方法を取り上げたいと思います。※「パートでも有給はとれるの?」といったご質問は、こちらをご参照ください。

時給者や日給者が年次有給休暇を取得した場合、支給する賃金についてどのような計算をすればよいか、賃金規程、雇用契約書等に詳細に定めていないこともあるかもしれません。
特に、シフト制で日々の所定労働時間が固定されていない時給者の場合、どのように計算すればよいのでしょうか。

有給休暇を取得した場合の賃金については、労働基準法39条7項に算出方法が定められています。

  1. 平均賃金(労働基準法12条)

  2. 通常の賃金(所定労働時間を労働した場合に支払われる賃金)

  3. 標準報酬日額(健康保険法99条)

3は労使協定の締結が必要とされており、社会保険に未加入のパートやアルバイト労働者も対象者とすることになりますので、実務上は1または2で算出することが多くなります。

また、1日の所定労働時間が変動するため、1が一番正確な方法と言えますが、実際に給与計算をするなかで、個別に年休取得の都度平均賃金を算出することは大変煩雑な処理となり、現実的ではありません。
結果、2の「通常の賃金」で処理することが一般的です。

しかし、1日の所定労働時間が明確な場合は、「時給×所定労働時間数」で簡単に算出できますが、シフト制などで日々の所定労働時間がバラバラな場合には取得する日ごとに算出しなければなりません。

そこで、標準となる所定労働時間を労働契約の締結時に明示し、有給休暇取得時の給与条件として確定しておくことをおすすめします。

勤怠システムなどを利用している場合は、シフトを決める際に有給休暇取得の予定日も含めて所定労働時間を設定し、月次の労働時間の集計に反映させることになりますが、休む当日まで所定労働時間が確定できないような場合でも、標準となる所定労働時間を確定しておけば対処可能です。(標準とした所定労働時間と実態が乖離していないことが前提です。)

2019年の法改正に伴い、時給者の有給休暇取得の給与計算をする機会が増えていると思います。
毎月正確に計算をするためにも、労働契約の内容や労働条件変更の際の処理手順をしっかり確認しておきましょう。

年次有給休暇の管理、給与計算等についてはお気軽に当法人担当者へご相談ください。

【年末調整①】~早めに準備を~国税庁 年末調整がよくわかるページ(令和3年分)が公開されています。【年末調整①】~早めに準備を~
国税庁 年末調整がよくわかるページ(令和3年分)が公開されています。

今年もあと3か月、年末調整の時期が近づいてきました。
ご承知の通り、年末調整とは、源泉徴収した税額の年間の合計額と年税額を一致させる精算の手続きです。
大部分の給与所得者は、この年末調整によって、その年の所得税の納税が完了することになりますので、年末調整は給与所得者にとって大切な手続きです。

令和3年分の年末調整は昨年(令和2年分)と同じ手順となりますが、昨年の変更点をいまいちど確認しておきましょう。
特に、様式や制度の変更について、次の箇所の記入漏れやお問い合わせが多くみられましたのでご注意ください。

※例年、税務署主催で開催されていた年末調整説明会は、令和3年以降は実施しないことされています。

また、休業やテレワークを実施されている企業様や年末調整を電子化された企業様では、従業員へのアナウンス、書類の配布・回収等のスケジュールも例年通りにできるとは限りません。関連部署、担当者様におかれましては早めの情報収集、スケジュール作成に取り掛かることをおすすめします。

年末調整の手順等を解説した動画やパンフレット、年末調整時に必要な各種申告書など、国税庁が提供している年末調整に関する情報はこのページから入手・閲覧できます。

なお、令和3年1月1日以降、法定調書の種類ごとに、前々年の提出すべきであった当該調書の枚数が100枚以上である調書については、e-Taxまたは光ディスク等による提出が必要となっています。

<タックスアンサーNo.7455>
 「法定調書の提出枚数が100枚以上の場合のe-Tax又は光ディスク等による提出義務」 

詳細は上記リンク先や管轄の税務署、関与されている税理士の方へご相談ください。

お問い合わせ

フクシマ社会保険労務士法人は、長年の経験と裏打ちされた実績、数多い労務士による多面的なアプローチで、お客様をトータルサポートいたします。
ぜひ一度ご相談ください。