【手続きの現場から】高年齢労働者の社会保険手続について

高年齢者雇用安定法改正により、働く意欲のある高年齢者が増えています。

厚生労働省によると、令和3年6月現在、65歳までの雇用確保措置を行っている企業は99.7%で、「継続雇用制度の導入」を行っている企業は、全企業において71.9%にのぼります。

また、65歳を定年とする企業は、中小企業では21.7%、大企業では13.7%となり、定年制を廃止した企業は、全企業において4%となっています。

つまり、高年齢者を積極的に雇用する企業が増えています。

<参考リンク>令和3年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します(厚生労働省HP)

 

高年齢労働者の社会保険手続について相談が寄せられることも多いので、

労働者が「65歳になったとき」「70歳になったとき」「75歳になったとき」、

また、「70歳以上の従業員を新規雇用するとき」「70歳以上の従業員が退職するとき」についてお伝えします。

 

65歳になったとき

労働者が65歳を迎えると介護保険料の控除が終了します。

65歳到達日(誕生日の前日)に第1号被保険者になるため、労働者あてに市区町村から納付書が届き、以降は原則年金から天引きされます。

65歳到達月(誕生日の前日が属する月)分の介護保険料から、健康保険料とは別に個人で納付します。

 

労働者に20歳以上60歳未満の被扶養配偶者がいる場合、配偶者は国民年金第3号被保険者から第1号被保険者となります。

市区町村窓口や年金事務所で配偶者本人に手続きしてもらってください。

 

70歳になったとき

労働者が70歳を迎えると厚生年金の資格を喪失すると同時に、厚生年金70歳被用者となります。

70歳到達時点の報酬月額が直近の標準報酬月額と異なる場合は、「70歳到達届」を提出します。

70歳到達月(誕生日の前日が属する月)分から厚生年金保険料は控除されません。

 

75歳になったとき

労働者が75歳を迎えると健康保険資格喪失すると同時に、健康保険料の控除が終了します。

75歳の誕生日当日に、それまで加入していた健康保険の資格を喪失し、自動的に後期高齢者医療制度へ加入することになります。

「健康保険被保険者資格喪失届」と健康保険証と高齢受給者証を添えて保険者に提出すると、自宅に新しい保険証が届きます。

75歳未満の扶養家族がいる場合は、新たに国民健康保険等に加入する必要があります。

75歳の誕生日が属する月分から健康保険料は控除されません。

 

70歳以上の従業員を新規雇用するとき

75歳までは会社の健康保険に加入できます。

「健康保険被保険者資格取得届」と「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」を、雇用した日から5日以内に健康保険組合・年金事務所に提出する必要があります。

 

70歳以上の従業員が退職するとき

70歳以降も継続して勤務していた者が退職する際は、「健康保険被保険者資格喪失届」を健康保険組合等に提出するだけでなく「厚生年金保険70 歳以上被用者不該当届」も忘れずに年金事務所へ提出します。

 

到達する年齢に応じて、特有の社会保険手続きがあります。
給与や保険料などに影響のあるところなので、慎重に確認を行いましょう。
その他、社会保険(健康保険・厚生年金)の資格取得・喪失、給付の手続き、要件の確認等はお気軽に当法人担当者へご相談ください。

 

 

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