【相談の現場から】新入社員を迎えるためにやるべきこと

今回は現場に寄せられた質問から、新たに従業員を迎える際にやるべきことをご紹介します。

Q.当社は今年の4月に初めて新卒社員を迎え入れます。人事労務上、やっておかなければいけないことがあれば教えて下さい。

 

A.新卒・中途入社問わず、入社時に対応すべきことができているかチェックしましょう。

 

<チェック項目>

□労働条件を書面等で通知していますか?

雇入れ時に安全及び衛生に関する教育をしていますか?

入社時の必要書類の提出手続きとして従業員からマイナンバーの収集を行う際に、

 その利用目的をきちんと説明していますか?

正社員・1年以上の有期雇用契約者等に対して、雇入れ時の健康診断を受診させていますか?

 

<試用期間を設けている場合>

試用期間について労働条件通知書に明記し、きちんと説明していますか?

試用期間中または期間満了時に本採用を拒否する場合の事由について、就業規則に定めていますか?

本採用の拒否に至るまでに注意喚起を行い改善促す等の教育をしていますか?

 

<パートタイマー及び有期契約者に対して>

労働条件通知書に雇用管理の改善等に関する相談窓口について記載していますか?

雇用管理上の措置の内容(賃金・正社員転換の措置など)について説明していますか?

 

4月は新卒に限らず、中途入社社員なども動き始めるシーズンです。

入社時に通知が必須のもの、実施が必要なものなど、労働基準法などで定められた事項について、

実施できているか確認していきましょう。

また、試用期間を設定している場合は、その適正な運用についても注意が必要です。

 

適性な労務管理は、自社の現状を把握することから始まります。
就業規則の規定、労務管理に関するご相談は、いつでも当法人までお寄せください。

 

<参考リンク>
労務監査クラウドサービス ヨクスル

【相談の現場から】繁忙時期の残業を減らしたい・・・

今回は現場に寄せられた質問から、繁忙時期の残業を減らす施策をご紹介します。

Q.当社では、月初と月末が忙しく月中は比較的仕事量が少ないのですが、それにより月初と月末に残業が多くなってしまいがちです。なんとか繁忙時期に発生する残業を少なくしたいのですが、良い方法はありますか?

A.ご質問の場合、変形労働時間制のうち、1か月単位の変形労働時間制の採用を検討してみてはいかがでしょう。

 

・1か月単位の変形労働時間制とは

1か月単位の変形労働時間制は、1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間(特例措置対象事業は44時間(以下、「または44時間」))

以内となるように、労働日及び労働日ごとの労働時間を設定することにより労働時間が特定の日に8時間を超えたり、

特定の週に40時間(または44時間)を超えたりすることが可能になる制度です。

この制度を採用する場合には、一定の事項を労使協定または就業規則で定める必要があります。

 

「労使協定または就業規則で定めるべき事項」

①対象労働者の範囲

②対象期間および起算日

③労働日および労働日ごとの労働時間

④労使協定の有効期限

 

 

・労働時間の計算方法

対象期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間(または44時間)を超えないためには、

対象期間中の労働時間を、以下の式で計算した上限時間以下とする必要があります。

 

上限=1週間の労働時間(40or44)×対象期間の暦日数÷7

 

 

・割増賃金の支払い

1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、割増賃金の支払いが必要な時間外労働時間は以下のとおりです。

 

①1日について、8時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間

②1週間については、40時間(または44時間)を超える時間を定めた週はその時間、

 それ以外の週は40時間(または44時間)を超えて労働した時間(①で時間外労働になる時間を除く)

③対象期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(①または②で時間外労働となる時間を除く)

 

 

・運用における注意事項

1か月単位の変形労働時間制を含む変形労働時間制を採用した場合、

就業日の始業時刻、終業時刻を就業規則または勤務割表(シフト表)にて特定する必要がありますが、

いったん指定された労働日や労働時間を変更(シフト変更)することは原則許されません。

他の社員の有給取得や欠勤対応によるシフト変更も許されないほど厳しい制度のため、運用の際には注意が必要です。

 

変形労働時間制の導入のご相談、就業規則や労使協定のご相談は、
当法人担当またはお問い合わせまでお寄せください。

HIROSHIMA WORK STYLE CONFERENCE 開催報告

去る10月18日(火)に「HIROSHIMA WORK STYLE CONFERENCE」がクレドホール(基町クレド11階)にて開催されました。

受賞された企業の働き方改革の実践内容や、小室淑恵氏を招いた講演会など、

大変有意義な時間となりました!

 

10月は「年次有給休暇取得促進期間」です

厚生労働省では、年次有給休暇(以下「年休」)を取得しやすい環境整備を促進するため、

毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」として、集中的な広報を行っています。

 

「年次有給休暇」の付与日数は法律で決まっています

労働基準法において、労働者は、

①雇い入れから6か月継続して雇われている
②全労働日の8割以上出勤している

この2点を満たせば、年休を取得することができます。

 

年休は、業種・業態にかかわらず、また、正社員・パートタイムなどの区分なく

一定の要件を満たすすべての労働者に対して付与されます。

 

 

また、労働者が年休を取得する日は、労働者が指定することによって決まり、

使用者は指定された日に年休を与えなければいけません。

ただし、事業の正常な運営が妨げられる場合は、使用者に休暇日を変更する権利が認められています。

※使用者による休暇日の変更が認められるのは、例えば同じ日に大勢の労働者が同時に休暇指定した場合などです。

 「業務多忙の時期だから」などの理由は認められません。

 

年休取得の現状

政府は、令和7年までに年休の取得率を70%とすることを目標に掲げています。

一方で、令和2年に年休の取得率は56.6%と過去最高になったものの、目標の70%には届いていない状況です。

また、業種別にみると「電気・ガス・水道業」「情報通信業」では70%に近い取得率である一方、

「宿泊業・飲食サービス業」では約45%と低い水準に止まっています。

 

働く人のライフ・ワーク・バランスの実現のためには、企業が自社の状況や課題を踏まえ、

年休を取りやすい環境づくりを継続して行うことが重要です。

 

年休を取りやすい仕組みづくり

平成31年4月改正の労働基準法により、使用者は、法定の年休が10日以上のすべての労働者に対し、

毎年5日間、確実に年休を取得させることが必要となりました。

5日年休を取得する方法は、「労働者自らの請求」「年休の計画的付与」「使用者による時季指定」があります。

「使用者による時季指定」とは、労働者ごとに、労働者の意見を聴取し、

できる限り希望に沿った時季になるよう意見を尊重した上で、使用者が休暇の取得時季を指定する方法です。

 

 

「確実に5日間年休を取得する」とは、「毎年5日間年休を取得すればいい」というものではありません。

本来、付与された有休はすべて取得されるべきものです。

使用者は、土日祝日などに年休を合わせて連続休暇にする「プラスワン休暇」の実施促進や、

年休の計画的付与制度の導入、時間単位で年休を取得できる制度の導入などにより、

より多くの年休取得ができる環境を整えていきましょう。

企業向け自己診断(働き方・休み方改善ポータルサイト)

 

また、年休の取得促進への取組や制度整備に対して、助成金が出る場合がありますので、
制度整備、就業規則の点検などはお気軽に当法人までお寄せください。

 

<参考リンク>

働き方・休み方改善ポータルサイト

10月は「年次有給休暇取得促進期間」です(厚労省HP)

【長時間労働の改善に向けて】トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター開設

厚生労働省は、8月1日に「トラック運転者の長時間労働改善相談センター」を開設しました。

相談センターでは、荷主企業からの作業環境改善に関する相談や、運送事業者からの労務管理上の完全や作業環境の改善に関する相談に対応します。

また、利用者の希望に応じて、オンライン相談や現地での訪問支援を無料で実施します。

 

例えば、

「ドライバーの時間外労働の上限規制、何から手を付ければいいのか」

「荷主の立場でできる改善はあるのか」

「ドライバーの運転時間に限度があるか?」

「荷待ち時間の削減をどう進めたらいいか」など、困っていることを相談してみましょう。

 

◆「トラック運転者の長時間労働改善特別相談センター」概要

[設置期間]令和4年8月1日(月)~令和5年3月31日(金)

[開所日時]月~金曜日の9時~17時(祝日・年末年始、12時~13時を除く)

[相談料] 無料

[相談方法]電話またはウェブサイトからの問い合わせ

      電話:(西日本)0120-625-109 (東日本)0120-763-420

      ウェブサイト:https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/consultation/

 

これを機に、長時間労働の改善について考えてみてはいかがでしょうか。
労働時間の設定の改善や長時間労働の改善、関連する助成金等については、
お気軽に当法人までお寄せください。

 

<参考リンク>

厚生労働省HP

リーフレット

【新しい働き方】テレワークの導入は検討してますか?

「テレワーク」とは?

「テレワーク」とは、インターネットなどのICTを活用し自宅などで仕事をする、時間や場所を有効活用できる柔軟な働き方です。

「tele=離れた」「work=働く」を組み合わせた造語です。テレワークの代表的なものは、以下の3つに分類されます。

 

1.在宅勤務

自宅で業務に従事する働き方です。

通勤に要する時間がないため、その時間を有効活用することができます。

例えば、育休明けの労働者が短時間勤務と合わせて勤務したり、保育園に近い場所で勤務したりすることで、仕事と家庭の両立に資する働き方です。

通勤の負担はありませんが、プライベートとの区別や労務管理において最も配慮が必要な働き方です。

 

 

2.サテライトオフィス勤務

 

自宅近くや通勤途中の場所に設けられたサテライトオフィス(シェアオフィス、コワーキングスペースを含む)で業務に従事する働き方です。

通勤時間を短縮しつつ、在宅勤務より作業環境の整った場所での就労が可能となります。

労務管理は在宅勤務よりしやすくなります。

 

 

 

 

3.モバイル勤務

 

労働者が自由に働く場所を選ぶことができる・外勤者の移動時間を利用できる等、柔軟な勤務による業務の効率化が望める働き方です。

「ワーケーション」もこの働き方の1つと言えます。

一方、ネットワーク接続が場所によって変わるなど、セキュリティ管理の配慮が最も必要となります。

 

 

 

テレワーク導入のメリット・デメリット

企業のメリット
  • オフィスのスペース削減、電力などのコスト削減
  • 柔軟な働き方ができることから人材の有効活用
  • 災害時(新型コロナウィルス感染症の感染拡大時など)にも事業継続が可能
  • 通勤負担の軽減による多様な人材の確保
  • 企業イメージのUP

 

労働者のメリット
  • 通勤負担の軽減によるプライベートの充実
  • 新型コロナウィルス感染症の感染予防効果
  • 障がい者や高齢者の就業機会の拡大
  • 業務に集中する環境での効率UP

 

企業のデメリット
  • 導入に係る費用
  • 労務管理・人事評価の難しさ
  • 情報漏洩の危険性(セキュリティ管理の補強)

 

労働者のデメリット
  • 同僚・上司とのコミュニケーション不安
  • 通信費・光熱費の負担
  • プライベートとの切り替え

 

導入に向けてやるべきこと

 

1.業務の切り出し

日頃の業務を見直し、不必要な捺印や署名の廃止書類のペーパーレス化決裁の電子化オンライン会議の導入などに取り組みましょう。
テレワークでは難しいとされてきた業務も、一旦やってみたら意外にできることが分かったというケースは多いです。
また、テレワークに対する職場内の意識改革も大事なポイントです。

 

2.テレワーク対象者の選定

業務命令でテレワークを実施する場合も、労働者がテレワークを希望する場合も、労働者本人の納得の上で対応する必要があります。
また、雇用形態の違いのみを理由として対象者から除外することはできません。(通称パートタイム労働法や労働者派遣法に基づき)

 

3.費用の負担

テレワークを行うことにより、労働者に過度に負担が生じるのは望ましくありません。
費用負担についてはトラブルになりやすいので、労使間でよく話し合うことが必要です。特に、労働者に通信情報機器、作業用品その他の負担をさせる場合には、当該事項について就業規則に規定しなければならないこととされています。

 

あらかじめ労使間の十分な話し合いのもと、就業規則等に定めることが望ましい事項

 

 

 

 

 

 

テレワークのルールづくり

労働基準法上の労働者については、テレワークを行う場合、以下のような労働基準関係法令が適用されます。

  • 労働基準法
  • 最低賃金法
  • 労働安全衛生法
  • 労働者災害補償保険法

 

テレワークを円滑に実施するためには、使用者は労使で協議したルールを就業規則に定め、労働者に適切に周知することが望ましいです。
また、テレワークでは周囲に上司や同僚がいない環境で働くことになるため、労働者が上司とコミュニケーションをとりにくい、上司が労働者の心身の変調に気づきにくいという状況となる場合が多いです。
テレワークにより生じやすい状況を念頭に置いたメンタルヘルス対策についても、計画的に取り組みましょう。

 

テレワーク導入に伴う就業規則の変更・関連助成金の申請や、労働時間の取り扱い・労災申請についてのご相談は当法人担当者または下記お問い合わせよりお寄せください。

 

<参考リンク>(厚生労働省HPより)

テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン

HOW TO テレワークリーフレット

 

 

 

【2月は省エネ月間】職場での省エネを考えてみませんか?

2月は省エネ月間です

地球温暖化は、気候変動に伴って社会に多くの問題をもたらしています。

日本政府は、パリ協定(2015年12月採択、2016年11月発効)において、温室効果ガスの排出削減目標を2030年には-46%(2013年比)、2050年にはゼロにすると宣言しました。

この目標を達成するためには、国民一人一人の理解と行動変容と、政府を主導とした産業界全体の徹底した省エネへの取り組みが必要となってきます。

 

では、身近な職場において、私たちに何ができるでしょうか?

 

室温について

環境省では、平成17年度から冬季の地球温暖化対策の一つとして、暖房時の室温を20℃(目安)で快適に過ごすライフスタイルを推奨する「WARM BIZ」(ウォームビズ)を呼びかけています。

一般的に、電力による冷暖房を行う場合、室温設定の調節による省エネ効果は、夏よりも冬の方が大きいことが知られています。冬の暖房機器使用時に室温設定を今までよりも下げるようにすれば、CO2削減効果があるばかりでなく、電気代を効果的に節約することに繋がります。

さらに、身に着けるものを意識する・暖かいものを食べる・血行促進運動を取り入れる、など個人でもできるウォームビズについても意識的に取り入れていき、省エネに取り組んでいきましょう。 

ウォームビズとは(環境省HP)

 

照明について

快適な職場環境の醸成には、適切な照度が必要不可欠です。

例えば、「VDT(Visual Display Terminals)作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(厚生労働省)によると、パソコンディスプレイの画面上の照度は300ルクス~500ルクスを推奨しています。ディスプレイ上の明るさと書類及びキーボード上の明るさと周辺の明るさの差は、なるべく小さくすることとされています。

 

また、労働安全衛生法では、作業の内容によって適切な照度を確保するように定められています。

暗い作業場では災害の発生の危険性が高まりますし、不必要に明るいと落ち着かず、作業効率が下がると言われています。

晴れている日や時間帯によっては、太陽光で十分な照度を保てることもあります。ブラインドやカーテンなどを利用し、余分な電力を使わない工夫も必要でしょう。

また、照明器具のこまめな点検や清掃も省エネ効率をアップします。

 

行動について

  • エレベーターを使わず階段で
  • こまめにコンセントを抜く
  • 就業を見直し夜間の電力使用を控える(ノー残業デー・就業時間の前倒し・サマータイムの導入など)

 

<関連サイト>

省エネポータルサイト(資源エネルギー庁HP)

 

一人一人の行動や企業の取り組みによっても、省エネ効果が期待できることがあります。
職場環境の改善、各種助成金のご相談など、当法人担当またはお問い合わせフォームまでお寄せください。

【相談の現場から】社員から副業をしたいと言われました。どのようなことに気をつけて対応したらよいでしょうか?【相談の現場から】社員から副業をしたいと言われました。どのようなことに気をつけて対応したらよいでしょうか?

コロナ禍を機に副業のニーズは高まっています

内閣府の実施した調査(第4回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(令和3年11月))によると、「副業を実施している」が13.3、「副業に関心があるが、行っていない」が52.3で、65%以上の人が副業を実施してるか関心があるという結果が出ています。

また、令和2年12月に行われた同様の調査では「副業を実施中」とした人が11.6%だったことから、実際に副業を実施し始める人も徐々に増えていることが分かります。

副業は今や特別なことではなく、当たり前の働き方の一つとして受け止められつつあるといえるでしょう。

とはいえ、労務管理の立場から、むやみに副業を認めることはトラブルの元になる懸念があります。
現状副業を禁止する就業規則がない場合、社内制度・就業規則をきちんと整え、周知してから認めるようにしましょう。

 

副業を認めるうえでの注意事項

  • 副業に係る就業時間の管理・健康管理の取り扱い

本業と副業の就業時間は通算されますので、副業も含めた労働時間管理が必要となります。1日の所定労働時間を超えて働けば、割増賃金の対象となります。ただし、割増賃金を支払うのは後から雇用契約を結んだ方になるため、通常副業先が割増賃金を支払うことになります。

しかし、労働時間が通算されるのは副業先に雇用されている場合のみです。そのため、労働時間の管理を受けない個人事業主や委託契約などは対象になりません。

また、副業に従事する労働時間の把握は、労働者の申告によるものでよいとされています。

複数の仕事をかけ持つことは長時間労働につながりやすく、健康を害する恐れもあります。

健康障害を予防する観点からも、自社での業務と副業先での業務との兼ね合いの中で適切な措置を講じることができるよう、会社側で副業の状況を把握できる環境を整えましょう。

 

  • 秘密保持義務・競業避止義務への懸念

副業は、企業にとって「社員の自律性の促進」「優秀な人材の流出防止」「社外からの新たな情報・事業機会の拡大」などのメリットが考えられます。

それと同時に、労働者の「職務専念義務」「秘密保持義務」「競業避止義務」をいかに確保するかという懸念への対応も必要となってきます。

副業開始前に、これらの義務について労働者と書面にて取り交わした方がいいでしょう。

 

「現状の就業規則には副業に関する規定がない!」ことは多くあります

「実は社員がこっそり副業していた」「把握していない副業先で労災が発生した」など、起こりうるトラブルを未然に防ぐためにも、就業規則を見直してみてはいかがでしょうか。

 

就業規則の見直し、副業に関する労務管理のご相談も随時承っております。
下記お問い合わせ、または当法人担当までお気軽にお寄せください。

【令和3年4月施行】対応はお済みですか?70歳までの就業機会確保の努力義務 ~「高年齢者活躍企業コンテスト」のご紹介~【令和3年4月施行】対応はお済みですか?70歳までの就業機会確保の努力義務
~「高年齢者活躍企業コンテスト」のご紹介~

高年齢者雇用安定法の改正

高年齢者が活躍できる環境の整備を目的として、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、令和3年4月1日から施行されています。
今回の改正は、個々の労働者の多様な特性やニーズを踏まえ、70歳までの就業機会の確保について、多様な選択肢を法制度上整え、事業主としていずれかの措置を制度化する努力義務が設けられたものです。(定年の70歳への引上げが義務付けられたものではありません。)

70歳までの就業機会確保の努力義務については、厚生労働省ホームページに、パンフレット、Q&Aなどが掲載されています。

高年齢者活躍企業コンテスト

現在、厚生労働省、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の共催で、令和4年度「高年齢者活躍企業コンテスト」の応募企業を募集されています。
締め切りは令和4年3月31日(木)です。

 このコンテストは、高年齢者雇用の重要性についての理解の促進と、高年齢者がいきいき働くことができるようにするための創意工夫やアイデアの普及を目的に、毎年実施されているものです。
優秀な事例は来年10月に行われる表彰式で表彰される予定です。

 

募集する取り組み内容の例

    • 制度面の改善
      定年制の廃止、定年年齢の延長、65歳を超える継続雇用制度の導入、創業支援等措置(70歳以上までの業務委託・社会貢献)の導入、賃金制度、人事評価制度の見直し、多様な勤務形態、短時間勤務制度の導入など
    • 意欲・能力の維持向上のための取り組み
      高年齢者のモチベーション向上に向けた取り組み、役割等の明確化、技術・技能継承の仕組み、IT化へのフォロー、危険業務などからの業務転換、職場風土の改善、従業員の意識改革、新職場の創設・職務の開発、中高齢従業員向けの教育訓練など
    • 作業環境の改善、健康管理、安全衛生、福利厚生の取り組み
      作業環境の改善、高齢化に伴う健康管理・メンタルヘルス対策の強化、高齢化に伴う安全衛生の取り組み、福利厚生の充実など

 

応募資格

 原則として企業からの応募で、高年齢者が65歳以上になっても働ける制度を導入していることなどが要件となります。  ※詳細は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構ホームページをご確認ください。

 

応募締め切り

 令和4年3月31日(木)※当日消印有効

 

応募方法・問い合わせ先など詳細はこちら

 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

 

過去の受賞企業事例はこちら

 70歳雇用事例サイト


法改正への対応、高齢者雇用についてのご相談はお気軽に当法人担当者へお寄せください。

【10月1日は「コーヒーの日」】コーヒーブレイクから休憩について考える

10月はコーヒーが美味しくなる季節です。
国際協定によって、コーヒーの新年度が始まるのが10月で、この日がコーヒーの年度始めとなります。日本では、秋冬期にコーヒーの需要が高くなることから、1983年に、全日本コーヒー協会によって、10月1日が「コーヒーの日」と定められました。

また、2014年3月開催の国際コーヒー機関(ICO)理事会において、2015年から10月1日を「 International Coffee Day 」に定めることとされ、イタリア国ミラノで開催されたICO第115回理事会(2015年9月28日~10月2日)の期間に合わせ、ミラノ万博会場からスタートしました。

さてみなさん、一人当たりのコーヒー消費量が世界一と言われる国はどこかご存じでしょうか。
近年、SDGs、幸福度ランキング、サウナやおしゃれなインテリア雑貨のブランドなどで注目が高まっている、北欧の国フィンランドだそうです。(諸説あります)
フィンランドでコーヒーを習慣的に飲む人の平均的な消費量は1日に約3杯。5~9杯飲む人も結構いるんだそうです。

そのフィンランドの働き方で有名なのが、コーヒー休憩の制度です。
フィンランドでは、食事の休憩の他にコーヒー休憩を必ず設けるように法律で定められています。
6時間以上勤務の場合、労働条件として15分のコーヒー休憩を1日に2回(4時間以下ならコーヒー休憩はなし。4~6時間の労働ならコーヒー休憩1回)以上とされています。

さすがはコーヒー大国の法律と驚かれるかもしれませんが、こういったコーヒー休憩に限らず、毎日休憩なしで高いパフォーマンスを発揮し続けられる人はいません。
日本でも、労働基準法には休憩時間について規定があり、第34条において、労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない、と定められています。

過重労働の規制の強化や、労働生産性の向上が叫ばれて久しい昨今です。
勤務に必要な休憩時間を与えていなかった場合や、休憩時間とされているにもかかわらず、合間に書類作成をするなど労働から解放させていなかった場合には、労基署が休憩時間の違反を指摘する可能性もあります。
従業員のやる気や気力・体力を維持しつつ、トラブルを予防できるよう、休憩の与え方についても確認しておきましょう。

休憩の定義(原則)

1.休憩時間は、「労働時間の途中に与えなければならない」(労基法第34条第1項)
2.休憩時間は、「一斉に与えなければならない。」(労基法第34条第2項本文)
3.使用者は休憩時間を、「自由に利用させなければならない。」(労基法第34条第3項)


1.休憩時間は、「労働時間の途中に与えなければならない」(労基法第34条第1項)

休憩時間とは、あくまでも働いている間に休める時間のことなので、「出社前に1時間の休憩時間を取る」という就業規則を作ったとしても、朝8時から1時間の休憩を設け、9時から17時まで休憩なしで働かせるといったことはできません。同様に、「終業時間後に休憩をさせる」といった対応もできません。
なお、必ず正午から休憩時間を与えなければならないというように休憩を与える時間帯は決まっていません。また、休憩時間は、まとめて与えることも、分けて与えることもできます。

2.休憩時間は、「一斉に与えなければならない。」(労基法第34条第2項本文)

休憩時間を一斉に付与する範囲は、作業場単位ではなく、事業場単位です。
事業場とは、「工場、鉱山、事務所、店舗等の如く、一定の場所において相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体」をいいます(昭和22年9月13日基発17号)。そのため、例えば、工場がこれに該当することがあります。他方、作業場は、事業場の中にあるそれぞれの場所です。

<例外>
①労使協定を締結した場合(労基法第34条第2項ただし書、労基則第15条)
 労使協定がある場合には、休憩を一斉に付与する必要はなく、交互に付与することができます。
②特定の業種(労基法第40条、労基則第31条)
 運輸交通業、金融・広告業、映画・演劇業、郵便・電気通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業では、休憩時間を一斉に付与する必要はなく、交替休憩をすることができるとされています。

3.使用者は休憩時間を、「自由に利用させなければならない。」(労基法第34条第3項)

たとえば、休憩中でも来客に対応する必要があったり、電話などに備えてオフィス内で食事を取ることを指示していたりする場合は、休憩ではなく労働時間という扱いになります。上司や管理者が「オフィスにいるように」「誰か1人は残っていてほしい」といった明確な指示をしていなくても、暗黙の了解で労働させていれば休憩時間にはなりません。
ただし、「休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を害わない限り差し支えない」とされ(昭和22年9月13日基発第17号)、休憩時間中の外出許可制について、事業場内において自由に休息し得る場合には必ずしも違法にはならないとしています(昭和23年10月30日基発第1575号)。

休憩時間等の労働時間管理は会社にとって必要不可欠なものです。
万が一、休憩時間中の拘束に対して従業員から給与支払いの訴えを起こされた場合、高額未払い給与の支払いからは逃れられません。休憩の扱い方を間違って運用している場合は、早めに是正に取り組みましょう。
また、フィンランド並みとはいかなくても、効果的な休憩やリフレッシュタイムを設けることは、労働者の健康維持や職場のコミュニケーションの活性化に役立つと言われています。法を上回る働きやすさを目指すことは、優秀な人材確保にもつながります。独自の制度を検討されても良いかもしれません。

労働時間についてお悩みの方は、当法人担当者または以下のお問い合わせフォームよりお問い合わせください。

 

<参考>厚生労働省ホームページ 労働基準法に関するQ&A  労働時間・休憩・休日関係

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